第8話 修練のために魔力量を増やす様ですよ①
俺がジンに転生してから早2年が経ち、既に歳も7となった。
しかしマジでこの2年で色々な事があった。
毎日魔法の修練に励み、偶に来るサイコパスの相手を適当にし、メアとティータイムを楽しみんだ。
そして月に1度家族で集まって食事をするという苦痛以外の何物でもない行事も必死に堪えた。
……家族で揃った時は死ぬほど気まずかったな……だって俺落ちこぼれだから兄や父からは軽蔑の目で見られ、母からは物凄い憎悪をビシバシ感じたもん。
いや5歳児にそんな目を向けるなよ家族だろ……と言ってやろうかと思ったけど普通に怖かったのでやめた。
ただ魔法を修練ばかりして剣術を全くしてないせいか、使用人の間で『サボり魔』なんて新たな異名が生まれたようだ。
うん、着々と悪い噂が増えていってるな。
流石悪役とでも言っておこうか。
まぁ俺的には周りの評判など気にしても無駄なので放って置いているが。
今は相変わらず魔法の修練に励んでいる。
最近ではメアが教師となって色々な魔法を教えてくれていた。
「ジン様、今日は何の魔法にしますか?」
「うーん……」
今日は何にするかなぁ。
基本属性はメアには言っていないが既に最上級までは使えるんだよな。
派生属性も一部を除いて最上級まである程度は使えるし……でも最上級を使ったら数十発で魔力切れになるんだよな。
そもそも魔法って魔力なくなったら終わりだし。
…………あっそうだ。
「なぁメア、魔力量を増やせる方法何かない?」
「何を言っているのですか? もしかしてボケてしまいましたか?」
「いや言い過ぎじゃね? メンタル強くないからね俺。泣くよ?」
「泣いたら新たな評判が増えるだけです」
「あれ? もしかして俺のは評判の出所ってメアなの?」
俺が衝撃な事実にあんぐりとしていると、メアがふふっと一瞬顔を緩めた。
あっ……メアは堕天使でしたか。
天使のようで小悪魔……最高かよ。
どれだけ俺の心を鷲掴みにするつもりですかね!?
そろそろ俺の命が握られそうなのですが!?
「——死ねなんて言わないでよメア」
「はい?」
「いや何でもない。……それで魔力量増やすのって無理なの?」
「無理ですね。無理やり増やそうとすると命に関わります」
「そうかぁ……」
まぁこの体には膨大な魔力があるから基本魔力切れにはならないけど、将来の事を考えたら少し不安だよなぁ。
一時、疑似魔力器官作ったら魔力量増えるかと思って作ったけどちっとも増えなかったし……ん?
此処で俺は天才的な発想に至った。
そうか、疑似魔力器官に周りの魔力を取り込めば良いのか!
「メア! 周囲の魔力を吸収するのってどうだ!?」
「吸収ですか……それなら、自分の魔力で自然の魔力に干渉する魔力干渉に似た方法なら出来るかもしれません」
「おお! …………魔力干渉って何? メアは使えるの?」
「勿論使えますよ。では———今日から魔力干渉についてお教えしましょう」
メアがそう言うと指を立てる。
「最初に言っておきますが、魔力干渉は基礎の中でも難易度が非常に高いです。どれくらいかと言われれば、時空魔法と同等くらいです。何故なら時空魔法が魔力干渉が出来るようにならなければ絶対に習得することが不可能だからです」
うわっ……それはクソむずいじゃん。
俺が1年間で唯一初級以外を発動できなかったのが時間魔法だ。
あれはめちゃくちゃ難しい。
時空の時の方は【時間加速】【時間鈍化】を自分に限ってなら発動出来るが、空の方は転移なんて【ゲート】を作らないと全く発動すらできない。
いやどうやって人が何も無しに空間を一瞬で移動すんだよ。
どう考えても不可能だろ!
と言う考えになり、現在はあまり手をつけていない。
しかしそれと同等か……大分ヤバそうだ。
「現在ジン様は体外に出た魔力をどれ程操作出来ますか?」
…………ほわい?
体外の魔力を操作する方法なんてあるのですかい?
もしかしてあれか、自由に魔法の軌道を変えるやつ。
え、全然出来ないんですが?
逆にこの世界にそんな概念があったのも初知りなんですが?
「……やった事ありません……」
「ではまずはそこからですね。ジン様は魔力を見る事が出来ますか?」
「うん。それくらいなら出来るぞ」
俺は所謂【魔力視】と言う物を発動する。
そうする事により、世界が魔力の出現で輝く。
「出来ているようですね。では一度私の魔法を見ていて下さい———【
メアが掌を前にかざすと、そこから1つの直径20センチ程の炎球が飛び出す。
それは物凄い速度で的に迫るが、直前で直角に上昇する。
そしてそれは大きく弧を描き反対側の的にぶち当たった。
おお……すげぇ……飛んでたものが直角に曲がったぞ……。
俺が口を半開きにして唖然としていると、メアが此方を向く。
「それでは真似してみて下さい」
「いや全然分からないんですが!?」
魔法訓練施設に俺の叫びが響き渡った。
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