編集済
今更だが、俺、白石純太はモブである。
死んだサバのような目と、ヒョロッとした体型とオドオドした態度、極限まで存在感を抑えた芸術的とも言えるモブオブザモブである。
そして例に漏れず、いじめられっ子でもある。
普段は極限まで存在感を消していたのだが、俺としたことが魔女のボケについ激しく突っ込んだ結果、先生に生まれて初めて指名させるというモブとして最悪の失態を演じてしまった。
先生が出した子供でも解ける問題を正答しただけなのだが、うちのクラスで一番の番長格に目をつけられてしまった。
放課後に校舎裏に呼び出されたので行かなければならない。
面倒なこった。
****
放課後、校舎裏にオドオドと出向く。
「しーらーいーしー、お前は俺たちのサンドバッグ兼財布だということをすっかり忘れているようだな、しばらく姿を消していたようだが、今日はずいぶんと調子こいてるじゃねえか、ぁあー?」
番長格のリーダー?
えっと誰だっけ。
興味ない人間のことはよく覚えていない。
周りには取り巻きが10人ほどいて俺を取り囲む。
ソイツは俺の胸ぐらを掴み、掴み上げる。
「何だーその死んだサバのような目は、ムカつくなあ。」
「この金野亀男さまを舐めんじゃねえよ!」
そう言って俺の腹に拳で一撃を入れてくる。
腹を撫でられたようなやわいパンチだが、派手にダメージを演じてみる。
「ブホア!」
なにせ、モブオブザモブの称号を守らないといけないからね。
「おい、白石くん、出すもの出せや。」
出せと言われても白石純太の家は金持ちでもなさそうだし、といってシャドウガーデンの資金に手をつけるわけにもいかない。
あ、そうだ、久保、さんからもらったペンダントがあった、あれは高そうだしあれなら不良も納得して解放してくれるだろう。
「あの、これをどうぞ。」
純金のカメオペンダントを出す。
「なんだこれは、」
「ひ、お、俺の、カメオ、」
「え、君のなの?ちょうどいいや返すよ。」
「プギャー」
どこかの豚が屠殺されかけた時のような悲鳴を上げてすごい勢いで逃げて行った。
まあいいか、返せたならよかった。
後ろに気配を感じる。
「イータか?」
「あれ、誰?」
「その前にあいつミンチにしてデメキンのエサにしてもいいですか?主さまの腹に触れるなど万死に値します。」
イータは狂気に満ちた怒髪天をつく勢いの顔で言う。
「我々の調査では、あれは侵略者サイドの、金のカメオとか言う魔人です。学生に変化して潜んでいるようですね。」
「金野亀男、まんまじゃねえか。」
作者からの返信
コメントありがとうございます!
和名(笑)
亀男!
デメキン仮面!
デメキン亀男!
ホメ子さんがいなければ惚れていた。
とか、ウララさん。あなた……
作者からの返信
コメントありがとうございます!
ウララさんはいろいろと天然です。