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「私実は魔女なの。」
唐突に久保さんが言った。
「へえーそうなんだ。」
私は特に驚かなかった。
1000年も生きてると色んな魔物とも会うしいささか交流もあった。
「あんまり驚かないね。」
久保さんが笑いながら言う。
「実は僕も似たようなものさ、もう1000年以上生きてると言ったら信じてくれるかい?」
「うん、信じるよー、何かそんな感じはしてたんだ。」
「それで久保さん、でいいのかな、なんて言う魔女なの?」
「名前はないけど人間からは“シー・ハッグ“って呼ばれてた、海に住んでたから海の魔女、サハギンと呼ぶ人もいるかな。」
白石純太、いや七星剣蓮は鮮明に思い出した。
「あーーーー!っあのイタズラ魔女っ子!」
「確か450年前のwestラノシアにいた!ストーカー!」
「人聞きが悪いわね!誰がストーカーよ!」
当時さんざんなつかれて付きまとわれたのであながち的外れでもないと思うが。
「それで私の時間停止の異能力の中でも動けたのか、腑に落ちたよ。」
「やっぱり白石クン、いえ、蓮さんと呼んだ方がいいのかな、異能力者なんだね。」
「厳密には違うけどね、まあ似たようなものか。」
「しかし久保、さん、450年前に人間の国一つ滅ぼしてるよね、一応悪役になるのか?」
「テヘペロ!、あれはちょっとイタズラしたら勝手に滅んじゃっただけだよー。」
「まあ、深くは詮索しないけど、そういえば谷地田テルが美術の時間にシーハッグのお面彫ってたけど奴と仲間なのか?一応、テルと敵対しているイサミンとは600年の付き合い、旧知の仲だからテルの味方はできないんだが。」
「彼は普通の人間よ、数百年前から代々暗殺者の家系で裏の仕事を請け負ってるみたいだけど、知らないわ。」
「すると奴も異能力者なんだな。」
「そうね、あのお面は私の魔力の影響を受けて真の顔でも頭に浮かんだんじゃないかしら。」
「それなら奴をやってしまっても構わないか?」
「別にいいわよ、人間なんて別にどうでもいいし、あなたとなら遊べそうだけど。」
「白石クン、もう帰るの?魔石燃料のスカイアーク(飛行カプセル)乗ってきてるから送ろうか?」
特に断る理由もないので乗せてもらうことにする。
収納魔法からその乗り物を取り出す。
何というか、紳士の帽子に似た形の面白い方だ、乗り込むと中は割と広いし快適だ。
「わたし水の中なら自由に移動できるけど風魔法は使えないの、だから空を飛ぶ時はこれを使うの。」
スカイアークが起動する、周囲の円盤状のものが高速回転を始める。
計器を見るとほぼ亜光速まで、あ、光速超えた、だいたい原理は理解した。
物体は光速に近づくほど質量が増大するが光速を超えた瞬間に逆に質量は0以下となる。
そういう原理だったんだ。
そういえば50年前くらいから未確認飛行物体があちこちで目撃されたとか、、、
「犯人はお前かい!」
「へ、何のこと?」
シーハッグこと久保さんが素っ頓狂な声を上げたとき、高校からスカイアークが飛び上がった。
「この魔石というのは原料は何だ?」
「よく知らないけど、どっかの次元の人間の生体エネルギーらしいよ、こっちでは命とか魂とか魄とか気とかそんな感じのものかな。」
「へ、へえー、魔石一個でどのくらいの人間を使うの?」
「よく知らないけど1個で1万人くらいしか使わないよ。」
あっけらかんと答える久保さんを見て、うん、魔女だ、間違いない。
そう思った。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
サイドストーリーがどんどん広がっていく(笑)。
サハギン……カエルさん……
うっ!
なぜかアイスクリームを食べたくなってきた……
作者からの返信
コメントありがとうございます!
そこを拾ってくれると筆者冥利に尽きます!