幼馴染みの秘密は世界の秘密でした。

NORA介(珠扇キリン)

プロローグ

朝、いつもより少し遅く起きてリビングに向かうと、そこには妹の李璃(りり)が朝食を作って待っていた。


「兄さん、朝食を用意しておきました」


「あぁ、ありがとう」


天ヶ崎(あまがさき)李璃は俺の義理の妹だ。元々施設に居たのを今は亡き両親が引き取ったのだと、今の保護者には聞かされている。


取り敢えず、俺は顔を先に洗ってから席に着いて手を合わせる。

今日の朝食は卵焼きや焼き魚のおかずに白米と味噌汁、朝は和食派という俺の好みを妹は熟知している。


「美味いな……」そう言いながら俺は食べ進める。

両親が亡くなってからというもの、李璃が家の料理を作り出した。今の保護者である叔母さんから習っていたのを一度見掛けた記憶がある。


正直、李璃は無表情で何を考えてるか分からない奴だが、昔から優しい奴だったと思う。

まぁ、今は少し度が過ぎる程の過保護(ブラコン)になってしまったけど……


俺は食事を済ませて再び手を合わせる。そして、いつも机の上に用意されている飴玉に手を伸ばす。


「兄さん、毎回言ってますが、飴は噛まずに舐めて下さいね」


「分かってるって、噛まないって」


よく分からんが、妹には飴の食べ方に変な拘りがある。別に俺がどんな風に食べようと俺の勝手だろうに……俺はそう思いがなら飴を舐める。


「兄さんは偉いですね、撫でてあげます。」

──と李璃は俺の頭に手を伸ばす、俺もそれを受け入れる。


「このくらい、誰でもできるわ……」


その時、俺の頬を熱い何かが伝うのを感じた。


あれ…なんで俺はこんな事を思い出してしまうんだろう。俺はあの時、初めて妹の泣いた顔を見た気がする。

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