第6話 裸の付き合いってやつだな!
その後は水野さんと佐倉さんが編集して動画をSNSにアップする。
そして、俺たちは共同生活をする上での話し合いを行う。
「ここにはたくさんの部屋があります。それぞれ一部屋ずつ用意してますので、好きなように使ってください」
(よかったぁ。個室がないとか言われたら終わってたわ)
俺はひとまず安堵する。
「家事につきましては、メイドの宏美が率先して行ってくれるらしいです」
現在、東雲さんはキッチンにて俺たちの夕食を作っている。
「アタシ、家事スキルなんか持ってなかったから、東雲さんの存在はありがたいぜ」
俺も激しく同意する。
(俺も家事なんかしたことないからなぁ。両親不在の時は妹がしてくれたし)
「さすがに全て東雲さんにお願いするのは申し訳ないから、私たちにできることは私たちでしましょ。掃除とかは私たちにでもできるし」
「ですね!それくらいならウチもできます!」
彩音の言葉に水野さんが賛同する。
その後、掃除や洗濯等々、東雲さんにお願いしなくても良い部分を俺たちが日替わりで担うこととなった。
そんな話をしていると…
「お待たせ致しました。今日の夕食でございます」
東雲さんが夕食を持ってきてくれる。
匂いでなんとなくわかっていたが、今日の夕食はカレーで、とても美味しそうな匂いがする。
俺たちは「いただきます」と揃えて言い、食べ始める。
「んー!美味しいです!」
彩音が感想を言い、俺たちも頷く。
しばらくは無言で東雲さんのカレーを食べていると…
「あっ!そうでした!」
氷室さんが声を上げる。
「ここのお風呂はなんと、温泉になってるんですよ!」
「へー!それは楽しみだな!」
「ウチ、温泉大好きです!」
佐倉さんと水野さんが喜ぶ。
「なので、皆さんで一緒に入りましょう!」
(…………え?)
「おー!いいですね!」
「裸の付き合いってやつだな!」
「はい!私たちはまだまだメンバー間の仲が良いとは言えませんので、裸の付き合いは大事だと思います!」
またしても3人が盛り上がる。
(盛り上がってるとこ悪いけど、俺、入れないから!裸の付き合いがエッチなイベントになっちゃうから!)
そのため、俺は隣にいた彩音に話しかける。
「おい!これはマズイぞ!マジでどうにかしろ!」
「うん。これはマズイね。一日3回は温泉に入っちゃうよ」
「そこじゃねぇよ!温泉って部分はどうでもいいわ!」
氷室さんの言葉をしっかりと聞いていたのか怪しくなってしまう。
「俺、みんなと一緒に入れねぇぞ!」
「………はっ!これはマズイよ!」
「だからそう言ってるだろ!」
ようやくこの状況がマズイことを理解する彩音。
「と、とにかく反対しなきゃ!」
「そうだな、まずはそこからだ」
俺たちは頷きあう。
「ちょっと待て」
俺は盛り上がっている氷室さんたち3人の会話に入り込む。
「俺、裸になるのが恥ずかしいから、1人で入りたいんだ。俺抜きの4人で入ってもらっていいか?」
「そうなんだ!葵くんって裸を見られるのが嫌で、私と一緒にお風呂入ったことないんだ!」
(ナイス援護だ!)
俺は彩音に感謝する。
しかし、氷室さんは顔を曇らせ…
「ごめんなさい。ここって大浴場しかないから、1人で入れるお風呂場がありません」
「な、なんだと……」
まさかの大浴場しかないという事実。
「それなら、みんなの後で1人こっそりと……」
俺は違う提案をするが…
「そんな気にすることないって!女同士なんだから!」
「そうですよ!私と同じで体つきに自信がないことは理解できますが、せっかく交流を深める機会です!お風呂でしか話せないこともたくさんありますよ!」
佐倉さんと水野さんが許してくれない。
(くっ!言ってることは正しいから反論できない!)
俺は彩音に目線でhelpを送る。
しかし、彩音は首を横に振る。
(oh…諦めろってことか。こうなったら一瞬で入って一瞬で出よう。とりあえず彩音と作戦会議だ)
そんなことを思った。
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