別の視点ごっこ

 まあ……なんというか。


 作者の価値観て、一人の人間ですから限りがあるわけです。


 キャラクターの価値観が全員似たようなものになりかねません。だって、自分の価値観から生まれますもん。


 ところが歴史ってのは色んな人が触って述べているため、一つの事柄に対しても色んな意見があります。


 世界史上有名なカエサルさん。知らない人にわかりやすく言えば、カイザー《皇帝》の普通名詞の元になったレベルの偉人、と申しましょうか。ローマ帝国の礎を築いた人です。


 この人はまあ、後世に絶賛されてる人でありますが、むろん批判する人もいる。同じ事象を全く逆に読み取って述べる人たちもいる。


 つまり、多角的に述べられているわけです。立ち位置によって、カエサルという人はきらびやかな英雄にも野心あふれる梟雄にもなるわけです。


 この稿において、カエサルの人となりはどうでも良し。多角的というのがポイント。


 自分でない価値観を入れ込んで、自分の話やキャラクターを見て表現する、という話。


 感情移入を対象ではなく、語り手にして読む。そういったのを歴史資料はたやすくさせてくれます。同じ事項、特に人物に対して複数の価値観により容赦なくぶっ叩かれて……もとい述べられているのは、週刊ゴシップ誌と歴史資料が代表的ではないかと。


 語り手の価値観をトレースして、まあ自分はそう思わないけどそんな考え方もあるね、とストックしていくと、手札が増えるのではないでしょうか。


 また、キャラクターや話を魅力的にするのは、練り込まれた設定もさながら、見せ方、そして見せる角度かなあ、と私は思ってまして、この角度の部分を増やしたのが、歴史関係の本でした。


 主人公の隣りにいる脇役の友人やヒロイン、敵。作品にする必要はないですが、このあたりをセンターにして同じ時系列で話が構築できるか、てやつでもあります。自分がキャラを把握できてるかの実験になるので、こういった脳トレ時々してます。

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