第5話
ゴブリンとの戦闘の後、先に進む途中何度かの戦闘を挟みながら気づけば俺は下の階層への階段を進んでいた。そしてさっきから気になってる事を考える。
「なんで出くわす敵が全部後ろ向いてるんだ?」
そう、何故か毎回進んだ先で出くわすのは、俺の行く先に同じ方向に進むモンスターたちばかりだった。まあ、そのおかげで俺も毎回後ろからの不意打ちで苦労せず倒せてる訳なんだけど。
考えても特に答えが分かることもなく、俺は5階層へとたどり着いた。拾ってきた私物のデジタル腕時計で時間を確認すると時刻は、0時を回ったところだった。一度食事休憩を挟んだとはいえ、4時間近く歩き続けてる事になるがそれほど疲れていないことに驚く。
5階層の風景は4階層と特に変わらず、俺は迷うことなく5階層も進んで行く、すると目の前には、またしてもモンスターの後ろ姿が。
「今度はデカいネズミか」
目の前には中型犬サイズのネズミが一体、俺は息を潜めながらコッソリ近づいていき、難なくそれを倒した。
ピコンッ!
どうやら今のでレベルUPしたらしい、とステータスを確認しようとした瞬間、背後から突然衝撃を受けた。
「痛っ⁉」
慌てて後ろを振り返ると、そこにいたのは別のネズミだった。そして、俺がメイスを構えると、そのネズミがキューキュー、とこちらを威嚇しながら攻撃してきたので、こちらも殴り返す、ということを何度か繰り返すとネズミは消滅した。
今のはマジで焦った。
自分が不意打ちを食らったのが初めてというのもそうだが、今まで自分が散々してきたことを自分自身が警戒していなかったことにも驚いた。ここに来るまでほとんどが一方的に攻撃するだけだったので、気が緩んでいたのかもしれない。
「気を付けないとな」
俺は念の為少し移動してから改めてステータスを確認した。
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伊藤晶 Lv5 EXP 198/333
LIMIT:15
HP 65/ 88
MP 41/ 41
STR 15 (+4)
VIT 10 (+)
INT 6 (+)
AGI 9 (+)
DEX 12 (+)
LUC 0 (+)
*SP 6*
ユニークスキル
<レベルガチャ>(0/100)
スキル
<EXPリミット>
<地球の加護>
装備
『鉄の鈍器』
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あれっ?と思い、そういえばあのゴブリンと戦う前にステータスを確認した時はレベルUPの直前だったのを思いだす、あの後も気分が落ち着かずそれどころじゃなかったからすっかり忘れていた。
ステータスに関しては、レベルが3上がったことによる変化はLUC以外の数値がすべて3ポイントずつ上昇している事とHP,MPの上昇だな、あとSPも6ポイントに増えている。傾向としてはレベルが1上がるごとに、素のステータスが軒並み1ポイント上がって、自由に割り振れるポイントは2ずつ増えるといった感じか...これが普通なのだろうか、もうちょっと増えてても良さそうだけど、特にLUCとか。
まあ、現状比較の仕様がないし考えても仕方ないか。あとついでのドロップアイテムの確認もしておく、といっても小さな青い石が二つだけなんだけど。
ゲームとかだと魔石とかの
「硬い」
当然石でしかないので吐き出す、一様飲み込めなくもないがさすがにそれは試す気にはならなかった。
ゲームだとアイテムドロップに繋がりそうなのはLUCなんだけど、現状俺のLUCは全く伸びる気配がない。自由に使えるSPがあるし思い切ってLCUに振ってみるか、ゲームだと他にもクリティカル率とかクリティカルダメージUPとかの印象もあるしアイテムドロップに直接関係なくてもまったくの無駄にはならないだろ。
俺は残りのSPをすべてLUCに振って人並の運を手に入れた。
◇ ◆ ◇
5階層をさらに奥へと進む、この階層に降りてきてから手に入る経験値が常に15EXPになった。おそらく一回ごとの戦闘で入手できる経験値の量が15EXPを上回っているんだろう。今はまだそこまで気にならないがこれから先レベルが上がるごとに要求される経験値量が増えていく事を考えるとこの<EXPリミット>とかいうのかなり重い枷になんじゃないかと今更不安になってくる。
とりあえずレベルUPに必要な経験値はステータスを見れば判断できるので、頑張ってLv11まで上げて<レベルガチャ>で10回ガチャを回すのに必要になる経験値の量を確認しよう。ユニークスキルの選択はもっと慎重に考えた方が良かったか?
そうしてそれは何度目かの戦闘の後だった、
ガサッ
と、物音がして音のした方を警戒して振り返るとそこには、いつの間にか横道がありその先にいた一人の眼鏡を掛けた女性と目が合った。
「「・・・」」
どうしよう、突然の出来事で頭が付いていかない、相手の方も困惑しているようで不安そうな表情でこっちを見ている。何と声も掛けていいか悩んでいると、
ぐぅううーー
女性の方からそんな音がかすかに聞こえてきて、女性が恥ずかしそうにお腹を抑えるのを見て、俺は今まで背中に背負っていたバックから菓子パンの袋とゼロカロリーコーラを出して、
「食べますか?」
取り敢えず食事に誘うことにした。
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