第2話
起きたら自分が知らない場所にいたという事実に若干、恐怖心を抱きながらも落ち着いて考えると、私物が散乱してるし、着ている服もそのままな以上、
これは、「転生ではなく転移なのでは?」などと思案する。
「というか、ここどこ?」
誰もいない通路で一人呟いてみるが、当然返事なんて返ってこない。
このままじっとしていても仕方ないので立ち上がり散乱している私物を集めて周りながら今、自分がいる場所について考えてみる。
「やっぱり、定番はダンジョンだよなぁ...」
物凄く手の込んだドッキリかとも考えたが、
俺の周りにこんな事するような知り合いはいないし、そもそも喪中の相手にドッキリなんて仕掛けてくる非常識な奴なんて鏡の前でしか見たことがないしな。
そんなことを考えながら落ちていたジム用のトレーニングシューズを拾って、片方だけ履いて、もう片方はどこだぁ、とあたりを見まわしてみるとベットの下の方にもう片方のシューズがあったので、そっちも履いておく。ついでにベットの下にあった、可変式のダンベル二つを、「モンスターとかいるなら武器になりそうな物があった方がいいか」と思い、両手に握ってみるが、
「プレート付けたままだと重いな」
というわけでプレートを全部外し、一本のシャフトに余ったストッパーを四つまとめて取り付けると、短めの、”鉄のメイス”が完成した。
その後も、落ちていた大容量のビジネスバッグを拾い、使えそうな物を詰めていきながら、今後の方針を固める。
まずはここがダンジョンだと仮定してここからの脱出を考えると、定番はやっぱり上へ上がることだけど、俺の前後には二つの道がある。どっちを選ぶにしても、余り時間は掛けられない、手元には飲みかけのお茶のペットボトルと四個入りの菓子パンが一袋だけしかないから数日で動けなくのが目に見えてる。
いやぁ、参ったな、考えるのが面倒くさくなってきたぞ...。とりあえず脱出に関しては進んだ先で考えよう、食料や水に関しても、まあ、未来の俺がどうにかするだろう。出来なかったらその時こそ、何もかも終わりってことだし。
そうして、何かしらの方針を決めたふうをして結局、何も決めないまま、意識は別の方に向く。
そういえばダンジョンのことばかり考えていたけど、ここって異世界てことでいいんだよな...だとしたらやっぱり魔法とか使えたりするのか?
周りを見てみると近くの岩肌がまるで松明の明かりを反射しているように明かりを放っているように見える。もちろん俺は松明なんて持ってないし、俺自身が発光している、とかでもない。まさにファンタジー、これは期待もできよう。
「試してみるか」
◇ ◆ ◇
結果だけいうと魔法は使えなかったし、ほかにも”ステータス”とか”ウィンドウ”と念じてみたり、声に出してみたリしたけど、なんの変化もなかった。
俺は今、最初にいた場所から離れて”鉄のメイス”を片手に、このダンジョンを探索していた。広さは大体、幅が道路の片側一車線分くらいあり天井もそこそこありそうだ。そして、いくつかの角を曲がって行くと、ついにそれと出会った。
これって芋虫だよな?ただ、俺が知ってる芋虫とは違い体長が60cmほどある、こんなの絶対、モンスターだろ、そんなことを考えていると、芋虫は突然、口から何かを吐き出してきた。
とっさに、左手を反射的に前に出して身を庇おうとして、(ヤバ!、酸性の液とか何か、やばいもんだったら⁉)、と考えがよぎると同時に腕に芋虫が吐き出した糸玉が浴びせられた。
とりあえず腕や、着ている服が溶けてる、とかではないようで、安心したのも束の間、今度はモゾモゾと動いたかと思ったら、こちらに勢いよく突っ込んできた。
今度はしっかりと攻撃を回避すると、俺はすかさず芋虫の背後から近づいて、両手で握った”メイス”で思いっ切り何度も殴りつけた。そして、四回ほど攻撃を繰り返すと芋虫は光の粒子になった消滅した。
やっぱり、ファンタジーじゃん。とか考えながら無我夢中で両手で握りしめていたメイスを離そうとすると、芋虫が吐いた糸が引っ付いて離せなくなっていてかなり焦ったが、少しすると糸はドロドロに溶けながら空気に溶け込むように消えた。
正直このまま連戦とかしたくないし、一旦来た道を少し引き返そうかと思案していると、
ピコンッ!
突然の音の”ビクッ‼”と、なりながら音のした方に目を向けるとそこには、
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伊藤晶
Lv 1
HP 16/ 18
MP 14 / 14
STR 6 (+)
VIT 7 (+)
INT 2 (+)
AGI 5 (-1)
DEX 8 (+)
LUC 0 (+)
*SP 2*
ユニークスキル
<>
装備
『鉄の鈍器』
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★ユニークスキルを一つ選択してください★
<レベルガチャ>
<無責任>
<自己暗示>
*ユニークスキルの選択は一度だけしかできません
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