第19話  良きに計らえ。


「やっと、仕事おわった~。ぢぢぃ、おなかすいた。おこのみ、食べいこ!」


俺の待つ、駐車場にヒカルが来て、開口一番で、俺に言う。


「えぇ~食いに行くの?」


「判ってるって、ぢぢぃ、貧乏なんやろ?昨日、給料日だったでな。あたしが面倒みたる!」


仕事でへまをし、急な出費があった俺は、ヒカルと一緒に、休日はテレビでも観て過ごそうと思っていたのだ。


女性のおごりでの、お出掛けに馴れてない俺は、少しゴネた。


「えぇやん…ぢぢぃとあたしなんだから、そんなん気にせんと…」


ヒカルは、うわ目使いで微笑んだ。


「他の娘ぢゃなくて、あたしなんだから…お好み焼き、食べんかったら、今日、えっちしよらんよぉ〜」


「しょうがないなぁ…ヒカルだから、いいかぁ。俺の女だもんな…」


「そうや!ぢぢぃ、行くで!ついてきな!」


「殿。おとも、いたす」


「よきにはからえ…ウシャシャシャシャァ~」


ふたりでたらふく、おこのみや、他の料理を食べ、酒を飲んだ。


「あぁ…おなか、いっぱい…ぢぢぃ、他の店に行く?」


「もう、いいぢゃん。帰ろうよ」


「そうやな…おこのみ食べたし、買い出しして帰ろう」


ヒカルは、俺の手を曳き、近くのコンビニへ入る。


「水は2本、氷は3つ…あとはつまみに…」


ヒカルは、まだ、大量に飲むつもりで、買い物を始める。


支払いのための、財布を開きながら、俺の吸う分のショートホープまで、買っている。


「たばこまで買ってもらっちゃって…俺、ヒモぢゃん」


「ぢぢぃ、貧乏やからな…ヒモでよろし。よきにはからえ!ウシャシャシャシャァ~」


さっき、俺がヒカルを、殿と呼んだせいか、ヒカルは、よきにはからえを連発してる。


夜道を歩き、部屋に入ると、その日、はじめてのキスをした…。


「ぢぃ…トイレだから、水割り作っといて…」


「あんだよ…ぢぢぃじゃなくて、今日はぢぃになったのかよ」


「殿ですから、ぢぃは付き物でしょ?貧乏でヒモやし、ぢぃやし…俺は殿やし…よきにはからえ!今日もリゾートや!ウシャシャシャシャァ~」


ヒカルは本当に楽しそうに笑った…。

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