第11話 真夜中の電話。
真夜中に、突然、ヒカルから電話が来る。
『もしもし、ヒカルか…こんな時間にどうした?』
『家でひとり飲んで、そのまま寝ちゃって…こんな時間に起きちゃった』
『しょうがないなぁ…お前、相変わらず、誰もいないと思って、パンツも穿かないで、裸で寝てたんだろ?』
『うん…』
『いくら、お前んとこ、マンションの5階だって、なんかの時はまずいだろ…カーテンだけで、窓も閉めないんだろ?』
『暑いんだもん』
『まぁいいけど、酔いは、さめたのか?』
『うん…』
お前は続けて俺に話す。
『ねぇ…今、夢みたん…ぢぢぃが他の女と仲良く歩いてて、一生懸命追いかけるんだけど、追い付かない』
『バカだなぁ〜…んな夢は逆夢…つか、なんで俺が他の女と一緒に居なきゃいけ
ないんだよ』
『だって…』
『だってじゃねぇよ。いいか?俺はお前の男だろ?なら、俺を信じないで誰を信
じるんだよ』
『ぢぢぃの全てを知っている訳じゃないし…』
『んなの、当たり前だよ、一生かけて、んなこと知ればいい…言ったろ?最後の
最後で、お前に、あんたで良かったって言わせるって…』
『不安なんだよ…ぢぢぃ、いままで何人も何人も女と付き合っていたぢゃん』
『数の多さは関係ない。お前だって今まで、何人かの彼がいたろ?』
『でも…』
『でも、じゃねぇ…いいか?また、前と同じこと、言ってやる。』
『…』
『俺は長年付き合っていた女と別れ、同時期にお前も男に捨てられた。』
『うん』
『そして、初めて逢った日、お互いが理由もなく惹かれ合う。そして、俺が初
めてお前に明日は横浜へ帰るから、今日、デートをしてくれって言った日は、お前には大事な用がある日だった。だから、お前は俺に断った。俺は、なんでもお前の都合を考えないで、ものを言うからな』
『うん…』
『だけど、用事は急に流れ、結局俺と結ばれたんだ。まぁ、障害と言うほどではない
が、全ては今の俺達を結びつけるようになっていた。偶然じゃない。必然なんだ。だから、俺は自分を信じる。決まっていたんだ。お前は俺の女になり、俺はお前の男になるって…。そうじゃないと、今の俺達は、本当の俺達じゃないんだ。過去の俺の女達も、お前の彼達の存在も、俺とお前の今の、今から未来への為の準備に過ぎない。』
『でも…まだ不安なんだよ。もう別れは嫌なんだよ』
『別れ?気にするな。毎日、寄り添い、日々を過ごす。その為に俺は横浜からこの街に来て住んでいる。お前が大切だから、お前の産まれ育ったこの街と横浜に拠点を構えた、最後にお前が俺で良かっ
たと思わせたいから…。俺達の別れは、俺がこの世から消える時だから…』
『ねぇ…信じたい…だから、今すぐに来て。あんたに触れれば信じることができ
るから…』
俺は、ヒカルの部屋へ行き、ヒカルを朝まで抱き締めた…。
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