第10話  女子会。


エキサイティグなカフェ&レストラン。


俺は、毎日ここへやって来る。



その日は、俺の女のヒカルが、いつもより1時間早い仕事上がりなので、俺は、ヒカルを待つつもりで、ティータイムから店に入った。



こんなにも、ヒカルと一緒に行動を共にしているのに、店内では、ヒカルはホールスタッフ、俺は常連客として、何も、変わらないでいることが、俺には心地よかった。


俺のテーブルはいつもの3卓。


俺の為にいつも空けておいてくれているのか、ホールスタッフの立ち場所の近くなので、俺だけは、他の常連達とは違い、ホールスタッフの会話に一緒に参加するのが当たり前となっている。


従って、店の内輪話、客に対しての好み、はたまた、ホールスタッフの私生活まで垣間見ることができる。


そして、その日も、相変わらず、入れ違いに立つ、ホールスタッフ達とくだらない話で盛り上がっていた。


ディナータイム専門の佐伯っておばさんが、その日は珍しく昼間に出勤をしている。


ヒカルが立っている横に、佐伯さんがやって来た。



「ヒカルちゃん、今晩、久々に女子会やらない?今日は夜、仕事無いからさぁ」


「え?今日?」


ヒカルは、ちらっと俺を見る。


「飲み会やるんだぁ、楽しそうだね、ヒカル、行って来いよ」

俺がすかさず話題に食いつく。


「ぢぢぃちゃんも来なよ」

おぃおぃ…お前まで、ぢぢぃってよぶかぁ〜。


心の中で、そう思ったが、おくびにも出さずに、俺は答えた。



「だって、女だけなんでしょ?それに、俺、従業員でもないし…」


「ぢぢぃちゃんは、毎日、あたしらと内輪話してるんだし、身内と同じよ。男達は来ても、楽しくないから呼ばないだけだよ。ヒカルちゃんもいいでしょ?」


俺も参加するとなれば、ヒカルも喜んで参加する。



ヒカルの仕事が終える少し前に、俺は、店を出て、一度、現場に戻り、後をまかせ、ひかるの部屋で、ひかるの準備を、テレビを観ながら待った。


みんなは、ヒカルより、1時間遅くまでが、仕事の終わる時間の為、女子会の始まりは夕方の6時半からだった。


風呂を上がったヒカルは、バスタオルのまま、俺の脇で一服する。


シャンプーの香りに欲情し、俺はヒカルに迫る。


「出掛けるんやで…あほやなぁ…」

そう言いつつも、ひかるは身体を開いた。


ことが終わって、気づくと女子会開始までの時刻が迫っている。


ヒカルは、あわてて化粧をし、俺と一緒に部屋を飛び出す。


会場の居酒屋では、すでにみんな集まっており、俺たちは一番最後だった。


「ピカちゃん、ぢぢちゃんおそい〜」


ビールのジョッキが、グラスに見えるカンちゃんが、俺達に声をかける。


カンちゃんも来てたんだ…。


乙女の心を持ったカンちゃんは、女の仲間だったんだな…。

なるほど…。


妙に納得した俺は、カンちゃんを挟むように、俺とヒカルは両隣に座る。


「みんな、集まったところで、かんぱ〜い!」


「おつかれ〜」


従業員達の中に、俺が混じっても、皆と顔見知り、いつも皆と会話もしてるってことで、最初から違和感無く、皆は俺に接してくれた。



女だらけの飲み会ってことで、皆が酔ってくると、会話が凄い。


すぐに下の話になる。



「あれってさぁ、久々にやると、穴が縮んで痛くなるよね?」


「なるなる。3ヶ月くらいしないと処女に戻っちゃう」


「何が処女よ。ショジョ寺のたぬきみたいな顔してさぁ…あたしゃ3ヶ月もやらないなんて考えられないね」

佐伯のおばさんが口を開き話を続ける、こんな話が大好きらしい…。



「あたしのダーリンは、ち○ぼ、でかくてさぁ、しょっちゅうやらないと痛くなる。だから伸びっぱなしで縮む暇なし。ち○ぼ〜、暇なし、なんちゃって…」


「ち○ぼって、下品ねぇ〜。こ、とか、ぽにしてよ〜」


すっかり寄ったカンちゃんは、横座りになり、ヒカルにしなだれかかって会話に交じる。



「ち○ぼは、ち○ぼや!」


「濁点はやめて〜」


 

 ち○ぼ、ち○ぼと連呼しながら、佐伯のおばさんは、トイレに行くために立ち上がった。


見ると、ラメのいっぱいついた、長さがくるぶしが見え隠れするほどのロングドレス。


座っていた時は、派手な服だな、と、思っていたが、まさか、みんな、ジーンズやスカートの普段着で来ている居酒屋で、ラメ入りのロングドレスとは思わなかった。



舞踏会との勘違い?

いや、どっからみても、場末のスナックのママの格好でしょう。



佐伯のおばさんが、トイレに行っている間に、佐伯のおばさんの呼び名は、満場一致で佐伯ドレスと変わっていた…。


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