第6話  結ばれた。


仕事中の俺へ、お前からラインが来る。


“パゲぢぢぃ…”

 

きっと、暇でカウンターの脇に隠れて、ラインを打っているのだろう。


“ちっ…!”


俺は返事を打つ。


最近、ラインでも、いつも、喧嘩を売ってくる。



“ぢぢぃ、そういえば、一緒に飲みに行くって…行かないの?”


“おぅ!そうだったな…今日いくか?”


“やだね”


“じゃ、店の駐車場に、俺の軽トラ停めて、いちど、お前んちに行ってから飲みに行くべ…”


“やだね”


“じゃ…仕事終わる頃に軽トラで待ってるから…”


“りょ!”


制服から、私服に着替えたヒカルは、自分の車を、俺の軽トラの隣に停め直し、俺が助手席へ乗り込むのを待って、人目も憚らずに俺に口づける。



「なんか買い込んでさぁ、ホテルで飲もうよ」


「いいけど、飲むだけなら、店だってお前んちだっていいじゃん」


「今日はふたりだけで飲みたい…あたしんちじゃ落ち着かないから…」


「そっか…まぁいいよ…」



ヒカルの部屋には、まだきっと、元カレの匂いが残っているのだろう…。


俺は、深くは訊かないで、ヒカルの言葉に従った。


買い出しが終わり、ホテルへ入る。


ヒカルの大好きなチキンとソーセージで、焼酎を飲む。


ふたりだけの時のヒカルは、素直で可愛い女になっていた。


だから、俺は、真剣にヒカルの瞳を見つめて、今一度、俺の想いを伝えることにした。



「お前の店に初めて行って、なんのことはなく、いきなり俺達は惹かれ合った…。お前は彼と別れたばかりで、俺は自分が愛せる女を求めていた。お互い、過去はいろいろな経験を積んでいる。でも、それは…すべては、俺達が出会うための準備に過ぎないんだ。だから、俺は命かけて、お前を守る。そして、いつかお前に、あんたで良かったって言わせるから…」


15才も歳下のヒカルは、素直に俺の言葉に頷いて、そして、その夜俺達は、はじめて、ひとつに解け合った…。

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