【二巡目】
※殆どメモ (イルニアside)
初めと変わらず、あなたはそこで倒れていた。
今度は助けるから。
ちゅっと小さな額にキスをして、ルスを抱えて家に帰る。
狼の遠吠えが微かに聞こえた。
ルスは起きると私を見て怯えた顔をする。それは前回と違い、警戒ではなく、明らかに恐怖からくるだった。更に、ルスは「イ、イルニア……かあ、さ……。」と顔を真っ青にする。
私は雷に打たれたみたいに、その場に立ちつくした。
どさりと持ってきた服が床に落ちる。
どうして私の名前を?
胸が早鐘を打つ。呼吸が浅く、速くなる。
しかしそれよりも、ルスの様子が異常だった。
呼吸が荒く、ひどく震えている。
ごめんなさい、ごめんなさい。何度もそう呟いていた。
ルスの様子を見るに、ルスは逆行前の記憶があるようだった。混乱するなかどうにか自分を落ち着かせ、ルスの対処をする。
また、逆行前の事を忘れないように手記にまとめる。
(これは逆行後の習慣となる。)
ルスは十数日間
落ち着いてきて、私ともしっかり話せるようになった。しかし、未だに目を合わせてはくれない。
私はルスが人間の社会にいるべきだと思って、ルスをあのまま連れて帰らなかった。だけど、そうしてあの最期になるのであれば、今度は何があってもずっと一緒にいよう。ルスが望むまで、ずっと。
冷静に話し合った結果、私たちはまた一緒に暮らすにした。
ルスが私を選んでくれて嬉かった。
この家を離れて丘の上の小さな家に引っ越す。イルニアの転移魔法でそこに移動する。その後イルニアは少し体調を崩す。
遠くに海が見える。
「行ってみたいな。行けないけど……。」とルスは独りごちる。かあさんは魔女で誰かにその正体を知られると厄介だから、余程のことがないと遠出はしない。
諦めようとするが、ルスはなかなか海への憧れを捨てられなかった。私は度々窓から海を眺めるルスの姿を目にした。
ある月の晩、私はルスを海に連れていった。
夜であれば
ルスは海を見つめるイルニアの横顔を盗み見る。青い瞳のかあさんは見慣れなくて、不思議な感じがした。
好奇心だったり感動だったり色々な感情が浮かぶその深い
肌寒くなってきたので帰宅。
その後も頻繁にセリシアン王国中を見て回った。
少し転移魔法が使いづらくなったかしら?
若干違和感を感じるが、気のせいだと思う。
数年後、事態は急変する。
(どうなるんでしょう。サディトリアル家が介入するのは確かです。
案↓
出かけ先(人目につかない場所)でサディトリアル家当主とその護衛と遭遇し、ルスが拉致されイルニアはその場ですぐ反撃に転じる。
サディトリアル家の私兵とおぼしき人間たちがどこからともなく現れる。その数およそ十。
(あまり兵を多く連れて外出すると怪しまれる。この人数ならまあ、盗賊が出るなど治安の悪く危険な場所に行くと主張すればいいだろう。教会あたりはそれでも怪しむだろうが、何故そんなところに?とは言わないで。)
イルニアは二巡目ではまだ人間を殺す覚悟が無いので、大人数の敵に少し苦戦。ついでに戦い慣れていないので、敵をどこかに強制転移という方法で数を減らしていく。
あ、そういえばルスも逆行前に剣を教わったので出かけるときは常に帯剣してる。イルニアはあまりいい顔をしないけど、ルスはどうしても、譲らなかった。
僕だって剣を扱えるようになった。これでかあさんを守れるはず、そう思っていた。
しかしサディトリアル家当主は実は元穢狩りの精鋭であり、引退した現在もその力の強さは健在だった。
ルスと謂えどもそんな大人に拘束されれば、自分の剣を持つことはおろか体を動かすことさえできなかった。技術があるといっても、子供の力じゃ大人に勝てない。
ルスは自分の非力さを恨んだ。
イルニアに「逃げて」と言うが、彼女がそれを聞き入れる様子はない。せめてかあさんだけでも逃げてほしかった。今度は、かあさんが自分を捨てたなんて思わないから。かあさんだけは無事でいてほしかった。
このままでは分が悪くなると予想した当主はルスを人質にする。イルニアが一瞬怯んだ隙に一気に攻撃に出る。
さぁここからが問題。
◯イルニア死亡
↓
なんかぱっとしない最期ね。ルスはどうなるん?
無理やり養子にさせられた後もサディトリアル家に反抗?それとも従順なふりをして、復讐の機会を虎視眈々と狙う?
◯イルニア重症、サディトリアル家で監禁
↓
何故殺さん?イルニアを人質にしてルスを従わせるため?
その後どうなるかは完全に未定。ただ、ルスが心から幸せに感じることはない、としか言えない。
まぁざっとこんな感じの流れで、ハッピーエンドとは程遠いわな。
※セリシアン王国の隣国、ウィーネでは穢狩りが殆どない。そのためウィーネに逃げればいいのでは?と思ったが、イルニアは血の誓約によってセリシアン王国から出られない。
正確に言うと、
イルニアはこの誓約を知っているため、ルスと出かける時は範囲外に出ないか注意していた。
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