教会の悲願 (教皇side)
イルニアが倒れ、教皇は高笑いをした。眠った彼女に、笑いが止まらなかった。
生きた魔女の体を手に入れた。これで、我ら教会の悲願を達成できる、と。
彼女は勘違いをしていた。
教会の望みは魔女の消滅ではない。
真の望み。それは、魔力、いや、精霊の力を手に入れることだった。
教会はその精霊の力を独占することで、精霊を信仰するセリシアン王国での影響力を強めようと画策していた。
この思惑だが、そこで魔女、魔人に白羽の矢が立った。一時はサディトリアル家が飼っていた魔人を使っていたものの、何者かによって魔人が殺害されてサディトリアル家は血の誓約によって破滅した。
(もし魔人を殺すのであれば、そいつは赤薔薇の魔女。装置を見て、ふうん、人間がこんなものをねぇ。しかも穢を何よりも嫌う、あの教会が。なぜか装置は壊さず。なんで?そこはまた別の物語と繋がってくる。まあ装置を破壊しない方が魔女自身に都合がよかったのは確かだ。
装置は少し暴走した。多少壊れたが修復できる範囲。この暴走によって数名大怪我をした。)
再び制御できる体を探さねばならなくなったが、そこに舞い込んできたのがイルニアの取引である。
彼女は膨大な魔力を持っている為、それらを制御する力もそれなりのものだろうと教皇は践んでいた。正に、彼女は魔力の制御装置としてはうってつけの存在だった。
彼女の取引に応じて殺すふりをしたが、実際はただ眠らせただけである。誤算だったのは、何故か彼女の体の損傷が激しかったことだった。
「期待外れだったな。だが、まだ使える。」
魔人という制御装置が無くなったため精霊の力は再び不安定になり、現在は辛うじて力の暴走を免れている状態だ。一刻でも早く精霊の力を安定させたい教皇は、イルニアを大聖堂の地下深くへと運んだ。
深い眠りにつくイルニア。彼女は魔法陣の上に横たわり、装置の一部となる。
装置には保存の魔法が組み込まれている為、イルニアの身体が滅びることはない。(これらの魔法は、古に行われた精霊の力の実験資料を読み解いて構築された。何故常人にできたのかは未定。)
イルニアは生き続ける。
誰かが装置を壊すまで。
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余談
数の減った
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