18品目 海鮮お好み焼き

 あれから2日間は皆で迷宮の深層に向かい、食材確保の為に魔物を狩っていた。深層は湖のエリアがあり、そこではこの前食べた『ヤリイカ』という魔物や、『マジックシュリンプ』といったエビの魔物が多くいて、俺は屋台で出す料理を【お好み焼き】に決めた。


 マジックシュリンプを食べてみたけど、身はプリップリで甘みと旨みが凝縮していた。生でそのまま食べたせいか、リーシアにドン引きされてしまったが・・・この世界では生食文化がないらしい。


 リーシアにもマジックシュリンプの美味しさを、共有してもらおうとしたけど引き攣った笑顔でお断りされてしまった。かなり美味しいのにな‥‥‥。


 そろそろ帰ろうとした時に、一軒家サイズのタコに襲われたけど、ノワルが一撃で倒していた。


 タコがドロップした食材もかなり大きく、自分達では食べきれないと思ったからギルドに半分卸した時に、ギルドの職員はかなり驚愕した顔をしていた。


 なんでもこのタコの魔物は深階層に出現する周回ボスの一種で、『デビルオクトパス』というSランクの魔物らしく、この魔物が現れたら絶対に逃げろと冒険者の中では有名な魔物らしかった。


 そんな魔物を余裕で倒すノワルってどんだけ強いんだ‥‥‥?ギルドの職員が呆けた顔をしているので、「なんかすいません」と苦笑いしながら、お金を受け取りその場からすぐに逃げ出した。


 そんな事がありながらも、リーシアのマジックポーチにギリギリ入るくらいまで食材をゲットした俺達は、屋台を出す前日は宿の調理場を貸してもらい、実際にお好み焼きを作ったりして、最終調整をしていた。



「ついに今日が決戦の時だな‥‥‥楽しみだなぁ。リーシアやバーバラさんは美味しいって褒めてくれたから、今日は大繁盛するに違いない」


 ワクワクしながら食堂で朝食を取り、商業ギルドに行き屋台を借りていざ現場に向かう。


 いきなりの出店要請だったせいか、指定された場所に行ってみると、物凄い奥まった場所にあり屋台を出すにはかなり微妙な場所だった。


「シン‥‥‥こんな場所で本当に売れるのかしら。ちょっと心配になってきたわ」


「本当に美味しい物なら、場所なんか関係ないもんなんだよ‥‥‥と思いたいな。とりあえず仕込みをするか」



 手作りの『海鮮お好み焼き』と書いた布を屋台に付けて、この屋台が何を作っているか分かりやすいようにしておいた。


 以前、ロースト村で村長さんからお礼にと言われ、貰っていたキャベツと小麦、卵を使って作る事に。


 リーシアにはキャベツを大量に千切りにしておいてもらい、俺は迷宮で取ってきた食材の下処理をする。


 イカを捌き、エビも下茹でをして臭さみを取って、背ワタまで取っておく。タコは‥‥‥今回は使わないでおくか。


 小麦粉にだし汁を入れ、卵を入れてよくかき混ぜておく。この時、キャベツを入れて混ぜてしまうと、キャベツから水分が出てしまって水っぽくなってしまうから、必ず焼く前に混ぜ合わせるのがポイントだ。


 熱した鉄板に小さく切っておいたイカとエビを軽く炒めたら、作っていたお好み焼きのタネをその上にかける。後は焦げない様に様子を見ながらひっくり返して焼いていく。


 今までは地球の食材なんかを使っていたけど、今回はせっかくだしこの世界の物でお好み焼きを作ってみた。


 本当は鰹節や青のりなんかも使いたかったけどな・・・ない物はしょうがない。後は自作のマヨネーズとソースをかければ【海鮮お好み焼き】の完成だッ!!



「凄い美味しそうな匂いがするわ‥‥‥朝食を食べたばかりだけどなんだかお腹が空いてきちゃったわ」


「俺も同じこと思ってた。一つ食べたいところだけど‥‥‥無理そうだな」


 迷宮に行くには少し遅い時間だが、美味しそうな匂いに釣られた冒険者たちが屋台の前に集まって来ていた。


「兄ちゃん。美味そうな匂いがするけど、初めて見る料理だな‥‥‥一つ貰っていいか?」


「毎度ありッ!!熱いので気を付けて下さいね」


「おう。ありがとよ。‥‥‥ッ!?なんだこれ!?滅茶苦茶美味いぞ!!この上にかかってるソースも半端なく美味いが、この生地はもっちりしてて、中に入ってる海鮮‥‥‥これ、高級食材のヤリイカじゃねぇか!?それでこの値段で売るってどんだけお買い得だよ。」


 その言葉を聞いて物珍しさに集まっていた、冒険者たちも次々と買って行ってくれた。皆口々に「美味いッ!!」「明日も屋台やるよな!?」と言ってくれて俺の屋台は大盛況だった。


 結局、大量に用意していた食材も午前中には無くなってしまったので、まだ並んでいた人たちには申し訳なかったけど、終わりにする事にした。


 商業ギルドに屋台を返しに行くと、何処から聞きつけたのか、


「明日も屋台だしてくれますよねッ!?」


 と半ば食い気味に言われ、思わず「あ、はい」と答えてしまった。どうやら、食べれなかったお客さんたちが、大量に商業ギルドに問い合わせをしてきたらしく、俺の帰りを待っていたそうだ。


 明日から屋台を出そうにも食材も無い為、明日は一日迷宮に潜って食材を大量に確保してからまた屋台を出す事になった。


 この日から一か月、俺は屋台を出し続ける事になる。


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 どうも。ゆりぞうです。

 私はお好み焼きが好きでよくホットプレートで作ってます。

 最近ですと昨日作って食べましたw

 だから今回の内容はお好み焼きにしたかったのですよ。

 それでは、ここまで読んで頂きありがとうございました。





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