第7話 大司教①
シマジに霊体のプロットは、応える。
『私とお前はいつでも会える。
いつでも、私はお前を見守っている。』
一子相伝の秘拳。
ポックントン神拳を、会得したシマジ。
その過程で師匠であるプロットを自らの秘拳により殺めてしまう。
さらに、聖騎士ハサンの死を聞き、
旅の目的を見失いそうになりながらも、
第二の聖騎士ハデルの召喚を知り、
カントン地方に出向くことにした。
シマジは強くなった。
肉体的にだけではなく精神的にも成長を遂げている。
全てを受け入れ、克服する強さを身に付けるのであった。
奇しくもこれは聖騎士ハサンが鏑木凝流時代から恵徳していた『全肯定の極意』でもあった。
シッポリ国ヤマゲータ地方と
カントン国シンセイ地方の国境。
この頃聖騎士ハデルは、
シンセイ地方にある
パミュの街にある大司教に
不穏な動きありという噂を聞きつけやってきたのだ。
ふーっ。付いたな。
俺達が聖騎士一行と気付いて……るな。
ハデルが、パミュの街に到着すると、
街の領主ドルジは街を上げて聖騎士を出迎える。
「お待ち申し上げておりました。
聖騎士ハデル御一行様。」
聖騎士ハサンが魔王直属の魔将軍に殺されて、
一時も経たない内に第二の聖騎士が
召喚されたというニュースは、マーラ中を駆け巡る。
くっ。情報が早い。
俺達の動きが勘付かれている。
「ハデル様。これは迂闊に行動できませんね。
何か策を練りましょう」
メリーはハサンに目配せをする。
話は2日前に遡る。
パミュの街近くの村の宿で、寛いでいると、
パミュの街から逃げてきたと言う
町娘ティーラが駆け込んで来た。
「聖騎士様ですか?」
ティーラが話すには、パミュの街の大司祭は
アヤカシなのだという。
毎夜、毎夜娘が一人ずつ大司教の元へ呼ばれる。
表向きの名目は「聖典の施し」を選ばれた女に与えると言う名分なのだが、
実際は乱暴された挙げ句に喰われると言う
恐ろしい儀式なのだという。
しかも、街の領主ドルジはグルなのだという。
ティーラも、その日は「聖典の施し」の一人に選ばれ、夜に教会に出向こうとしていた。
そして、いざ協会に入ろうとした矢先に
黒い影に救われたのである。
それは、ポックントン神拳を極めたシマジの姿だった。
「逃げろ!大司教はアヤカシだ!
この街の近くのダゴンの村に聖騎士がいる。
そこに逃げるんだ!」
ティーラに向けて言い放つ。
へっ!俺は鼻が利くんだ。
アヤカシと人間の区別はお茶ノ子祭々よ!
さあ、悪の大司教、大魔司教を
とことん拝んでやるぜ。
シマジは最強の拳法を習得したことで、
後から思えば、少し浮足立っていたのかなと
この時の心情を思う。
連戦連勝、聖騎士の力を借りずとも、
ほぼシマジの力で敵を浄化できた。
しかし、今回は相手が悪かった。
大魔司教は、邪神アドヴァンの欠片、
大魔司教ガリウスだったのである。
次回へ続く
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