第6話 御陀仏

ポックントン拳は一子相伝の秘拳が故に

前伝承者は記憶を奪わるか、

拳を破壊される非情の歴史があった。


シマジの父は自らの結婚により、

師匠であるプロットの元を去った。


形式上は破門である。 

ポックントン拳を名乗ることは出来ず、

当然息子にも伝承は出来ない。


プロットは、敢えてシマジに

討たれる事を望んだ。


な、何でだよ。

お師さん!


もっと俺を導いてくれよ!


お師さんは既に事切れていたが、

その顔は安らかで

穏やかな笑みを浮かべていた。


プロットには身寄りは無く、

プロットの家の裏に埋葬することにした。


「お師さんが好きだった

クロハコベを一輪置いていくよ。

ありがとう。お師さん。」


シマジは、祈る。

プロットは5次元に導かれるように

昇華し天に召されただろう。


先ずはプロットは、ミャーギ地方ではなく、

南下してカントン国の

シンセイ地方に向かうことにした。


理由は、第二の聖騎士ハデルに

会うためである。


ハサン死亡後に、第二の聖騎士召喚の報が届いた。ハサンが死んで直ぐに?


何か陰謀めいた物も感じたが、

とにかくハデルに会おう、

そして従者に加えてもらおうと思ったのだ。


道中、アヤカシを沢山倒した。

以前とは違う、流れるような

『体(たい)』で敵の気(オド)を読む。


空中技はポックントン拳の真価。

バットンやバーチといった空飛ぶ

アヤカシも拳で粉砕していく。


ポックントン拳はただ破壊するのではない。

その拳に自らの神を宿すのである。


つまり、浄化であり、ハサン達聖騎士の武器に宿る波動や化身の術と同じ効果なのだ。


生前プロットは諭すように話す。


アヤカシは破壊ではない。

元はマーラの人の悲しい魂である。

愛を拳に宿すのだと。


ポックントン拳の使い手は拳に波動を宿す。

その手は青白く光る事から

神拳とも言われる。


ポックントン神拳と言われる所以なのである。


必ず、アヤカシと対峙するときに

シマジはこう言い放つ。


『今日がお前の命日だ。御陀仏!』


シマジが殴ると、アヤカシは笑顔と涙を浮かべて天に召されるのだ。


バットンを頭から『バコッ』

目が飛び出るも笑いながら浄化される。


ドテチンを横から『バキッ』

目が飛び出て口から血を吐くも

笑いながら浄化される。


レオナルドの顎を『ドカッ』と

アッパーカットすると、

やっぱり目が飛び出るも

笑いながら昇華し天国へ。


一つ目タイタンの頭を両手で『ドゴン!』

一つ目が飛び出ちゃうけど、

やっぱり笑顔で天国へ。


シンセイ地方に渡る頃には、

シマジのレベルは15になっていた。


シマジは武闘家なので魔法は覚えないのだが、

点穴や気の流れを読むことで、

体力増加、気力回復、傷口を塞ぐなどの

特技を身に着けることが出来た。


そう云えば、風の噂で、ハデルと言う別の聖騎士が召喚したみたい。


ハデルはカントン国にいるみたいなので、

会いに行ってみよう。


運命は刻々と動き出していく。


次回へ続く

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