第2話
私と先輩は捜査会議で、この殺人事件の被害者・
移動の車は私が運転している。先輩と二人きりの車内。助手席側から先輩の視線を感じる。
「
好き。
「いや、君が女性だから参考までに意見を聞きたいのだけど、どうかな、金持ちの男に
「――フラれ方によると思います」
しまった。なに言ってるの、私!
「そ、そうなんだ。女って怖いなあ」
「立浪先輩はどうなんですか? なんか、女の人には一途な感じに見えますけど、実はそうじゃないとか。飛燕さんみたいに」
「まあ、飛燕さんがどうだったかは知らないけど、僕は一途な方かな。そっちの方は器用じゃないから」
そんなの、全然不器用でいい!
「よかったです」
「なにが?」
「先輩が一途な人で」
と伝えてから、少し慌ててみせる。
「あ、違います。仕事をするうえでという話です。不真面目な人とは仕事がしにくいので」
「……」
ここまでで十分。後は黙って運転していよう。立浪先輩は落ち着かない様子で黙っているけど、ここは我慢。沈黙でつき離して、私に意識だけを集中させる、それが定石。
九重さんのマンションが近づいてきた。上着の前
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます