悪いがヒーロー、俺達ヴィランが主役だ

第19話

　波の音が聞こえる。

此処は、近くの海岸。

きゃっきゃとはしゃぐ小さな隊員達を、大きな隊員達が見守っている。

｢…私、familiarに入隊出来て嬉しいです。こんなにも幸せですから…｣

お下げ髪の隊員が、ぽつりと零す。

｢おーい、皆ー！静留様が準備オッケーだってー！！｣

瑞樹が大声で叫ぶ。

今から何をするのか？…集団入水だ。

familiarの皆はヒーローを嫌っている。

familiarの侭、死にたいと願っている。

静留はそんな隊員達の考えを読み取り、此処迄来ていた。

｢怖い？｣

｢怖くないよ！ロイ、瑞樹と最期を迎えれるなんてすっごく幸せ者だな〜！！｣

｢マオ、チビ共はもう行った｣

｢…今行くからね、皆｣

ドボンッ、と瑞樹、ロイ、ルカ、マオの四人は海に飛び込んだ。

とうとう、静留と竜斗だけになった。

｢…ありがとな、竜斗｣

｢エッ、いきなり何？｣

｢俺、竜斗と活動出来て良かった｣

｢…俺も！｣

お互い、せーの！と声を合わせて海に飛び込んだ。