第5話

 カタカタと震える少女。

少女の服は、継ぎ接ぎだらけだった。

しんしんと降る雪は少女の身体をどんどん冷たくする。

「おかーさん…」

悴む手に息を吹きかけながら只管に耐える少女。

段々、少女の意識が遠のき始める。

そんな少女の目の前に、二人の青年が降り立った。

「おにーちゃんたち、だぁれ…?」

「大丈夫、今から君を安全な所に連れて行くよ」

「君を救いに来たヴィランさ」

二人共、顔は狐面で隠されており分からない。

少女は不思議がりながら、青年達に身を任せた。

「直ぐ着くからな」

「うん…」

 数分後、青年達は小さな、だが立派な施設に着いた。

「Dio、静留だ」

「分かってますよ、静留さん」

青年達を出迎えたのは一人の少女。

此方は制服らしき服に身を包んでいる。

「この子に直ぐ温かい食べ物等を」

「其の後は健康診断ね!」

「分かりました」

おいで、と少女…マオはボロボロの少女を抱っこする。

「名前、分かります?」

「知らなーい。名前、マオが付けなよ」

突然の無茶振り、とマオは困惑した。

だが、この二人からの無茶振りには慣れている。

「そうですねぇ…うーん……」

「『陽』と『菜』を合わせて『陽菜』はどうです?」

奥から来たのは、白髪、糸目の青年…ルカ。

マオ、ルカはDioの管轄組織『familiar』の二大幹部である。

「マオ、用意出来たから」

「了解。…では静留さん、竜斗さん。私達が責任持ってこの子…陽菜ちゃんを保護します」

「あ、そうそう。其の子、familiarの隊員ね」

「分かりました」

マオ、ルカの姿が見えなくなり静留達は面を外した。

「お疲れ、竜斗」

「静留こそ」

ニッ、と笑って二人は施設の中へ入った。

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