第23話 知り合い

「金的からの顔面膝蹴り。

追い打ちで蹴りを一発入れるなんてちょっとやりすぎじゃないすか?

翔さん。」

見た目に合わない軽い口調で男は喋りかけてくる。

彼は曽剛 武瑠(そうごう たける)

仲間内の息子だ。

ガタイに見合わない明るい性格をしており好きなものはシュークリームやケーキといった甘い洋菓子を好むいわゆるギャップの激しいタイプの人間だ。


「その程度で済んだことを感謝しろ。

知り合いじゃ無ければ骨を数本おるのが普通だからな。

ありがたく思え。」


「マジっすか!?

ありがとうございます!」


それに対して俺は自然と中央に眉が寄る。

こう素直に反応されるとなんて返せばいいかよくわからない。


出会ったのは五年ほど前でこいつはその頃から素直だった。

俺の周りは疾風を介して知った知り合いや取引相手などで同年代はおらず初めての同年代だった。

武瑠は親に社会見学という名目で連れ回されていた。

そんな中出会った俺たちはどういった会話をすればいいか分からなかったため距離をおいていた。

すると武瑠は自然と俺の後ろをついてくるようになった。

小難しい話ばかりでよくわかっていないのだろうが気づいたら会話をするようになっていった。

最初は軽い挨拶だけだったが段々と「あれは…」「あっちは…」と質問してくるようになった。

最近は学校に行ってると武瑠の父親から話を聞いて休みの日に稀に顔を合わせる程度だった。

まぁ、俺がその学校に編入するのは想定外だったが。


「そろそろ教室戻るぞ。」


「え~サボらないんですか?

次の授業ダルいんでサボりましょうよ。

ちなみに俺はサボりますねぇ!」


こいつ…父親に似てきたな。

武瑠の父親は有能な怠け者だった。

母親の方もにているという話を聞いたことがある。

そのお陰か、こいつもかなりの怠け者だ。


「はぁ、サボって何するってんだよ。

何もすることねぇんだから教室の中でボーっとしてる方が良くないか?」


「まともに授業を受けるという選択肢は?」


「んなもんねぇよ。」


「ですよね~。」


「俺は寝るから起こすなよ!」


「了解です!」


そして俺は放課後まで惰眠を貪るのであった。

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