第22話 何もなかった
いつものようにマスターキーを使って屋上の扉を開く。
その後ろを数人の男女がついてくる。
屋上の中心に行ったくらいで声をかける。
「こんなところにまでついてきて何のよう?」
振り返って連中を見るとガタイのいい男子が数人とその取り巻きであろう男子、更にその中心であろう少しチャラそうな女子が数人。
連中はこっちを睨んで不満げな表情である。
女子の中心であろうやつは少し暑いのか頬を少し赤くして不満そうに喋りかけてくる。
「あのさぁ~、調子乗ってるでしょ?
顔が多少整ってるからって調子乗ってるでしょ?
ほんとさぁ〜空気読めよ。
大半の女子がやりたいって言ってんのにさぁ。
男子ならわかるでしょ。」
これが理不尽というやつなんだろう。
今まで病院生活が基本だったのに…ってそれ入ってないんだった。
そう言えば、疾風によると理不尽だと思ったら取り敢えず謝っとけと言われたような気が…
「あ~何、なんか〜ごめん。」
その謝罪が気に触ったのかガタイのいい男子が殴りかかってきた。
好都合だ。
肉体でオハナシをするのは結構得意だったりする。
左に体を動かし避けると同時に金的をお見舞いしてやる。
大分痛かったのだろう。
体が少し前かがみになる。
そのチャンスを見逃すほど俺は馬鹿じゃない。
接近して頭を掴む。
しっかり手で頭を固定して膝蹴りをブチかましてあげる。
男子生徒はそれが効いたのか顔と股間を押さえながら倒れて悶えてる。
俺はそこで許すほど甘くはない。
腹に右足の全力キックをお見舞いしてあげる。
すると男子生徒はきれいなくの字になって少し辛そうだ。
その男子生徒はおそらく自分が殴られるなんてことはめったにないのだろう。
なかなか立ち上がらない。
頭を踏みつけながら女子生徒達に視線を向ける。
女子生徒は現実を認めたくないのか
「ありえない…ありえない…」
なんてつぶやきながら尻餅をついた。
取り巻きであろう連中も俺に対して恐怖の視線を向けながら少しずつ後退している。
「おい。」
声をかけると全員が動くのをやめてこっちを見ている。
「メイド喫茶以外の屋台に決まった以外何もなかった。」
俺がそう言うと連中は上手く状況を理解できてないのか少し呆けた顔をこちらに向けている。
「何もなかった。
いいな?」
そう聞くと連中は
「「「「は、はい!」」」」
と声を揃えて返事をした。
「次はないからな。」
そう言うと連中はアホみたいに顔を縦にふる。
そしてチャイムの音がなる。
その音を聞いた瞬間、連中は急いで屋上から出ていく。
男を1人残して。
「わりぃ大丈夫か?」
声をかけると男は
「結構痛い。」
と言いながら立ち上がるのだった。
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