第21話 爆弾を渡される
「1人手を上げていませんよね。」
その一言で空気が一変する。
あのクソ野郎の視線は俺に対して向けられているような気がする。
「だって、クラスの人数はこないだの転校生が来てから奇数になったはずなんですよ。
おかしいと思いませんか?
皆さん。」
その発言と共にクラスメイトがこちらに視線を向ける。
天音の野郎、最悪のタイミングで俺にヘイトを向けやがった。
ふざけるなよ。
クラスメイトは「そういえば会話にも…」なんて言い始めやがった。
段々と視線に込められる感情が変化してきた。
「もちろんメイド喫茶だよね?」
といった女子の圧力の視線や
「男ならわかるよな?」
という2つの意味を持った視線などがこちらに向けられている。
ここは空気を読むしかないだろう。
俺は落ち着いて一言。
「メイド喫茶」
その単語が出た瞬間、一部の女子と一部の男子の視線が光ったような気がする。
そして、一部の男子と女子からは怒りのような視線が。
俺はあくまで単語を言っただけなのにここまで視線が痛いとは思わなかった。
しかし俺の口は止まらない。
「もいい案だと思うが俺は普通の屋台がやりたい。」
その瞬間、両方の視線に込められている感情はひっくり返る。
先程まで好意的だった視線は怒りに…いや殺意が結構な割合を占めているな。
逆に不満げな視線を向けていた連中からは感謝のような視線が来ているのがわかる。
黒板の前にいる天音は満足そうにこちらを見ている。
あぁ、あれは愉快犯だな。
そんなことを思いながら授業の終わりを示すようにチャイムがなる。
この恨み、いつか晴らしてやる。
そんな事を考えながら教室から逃げるように出ていく。
何人かついてきてるようだが、気にすることなく屋上に向かう。
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