第19話 サボりと再開
「じゃあ、地理の準備してね~。」
先生の気の抜けた聞こえる。
一応事前にもらった教科書を取り出して準備だけはする。
「…礼」
学級委員らしきやつの声が響く。
皆が席に座って授業が始まる。
ってときに携帯が鳴った。
視線が気になるがその前に携帯を確認する。
「ヘルプ2件
緊急対応1件
許可判断2件」
それを確認すると俺は周りを気にすることなく教室を出ていく。
おそらく人が居ないであろう屋上に向かう。
教室を出るとき先生に呼ばれた気がしたが気にするだけ無駄だ。
階段を登り屋上のドアを開ける。
これでもそこそこの関係性と立場がある為マスターキーを受け取ってる。
そして屋上で電話をかける。
20分ほど話して携帯を閉じる。
何も考えずに屋上からの景色を眺める。
そこには普段見ないような景色が見えた。
とても綺麗だ。
鮮やかな町並み。
物が動き生きていると感じさせられる。
死期が関係しているのか、場所が違うからなのか分からぬが普段見えてた病院の窓から見える景色よりも鮮やかに見えた。
出入り口の壁によっかかりながらその景色に見惚れる。
そうして段々と瞼が落ちていく。
妙にリアルな夢だ。
学校からの景色が見える。
しかし、リアルの方で見たものと違い魅力を感じない。
妙な虚しさを覚える。
周りを見て見ると少しヒビがある場所がある。
妙な既視感を覚える。
大樹だ。
大樹の夢に似ている。
そしてヒビに近づくと視界が段々と暗転していく。
夢に関して知ることは許されないのだろうか。
「…みさん…上さん、三上さん!」
その声で俺は起きる。
そこには以前大樹の場所であった天音咲と言うやつだった。
「何だ。」
「そんな不機嫌そうにされても困ります。
もう下校時間なんですよ。
帰らなくていいんですか?
親御さんが心配しますよ。
あと、お久しぶりです。」
こいつ遠慮や常識ってのを疑うような発言をしてくる。
「お前は関係ねぇだろ。
ってかなんでお前ここにいるんだよ。」
「気づかなかったんですか?
三上さんと同じクラスですよ。」
「「………」」
天音はこちらにジトッとした目線を向けてくる。
ぶっちゃけ興味なさすぎて今知った所だ。
「少し酷くないですか?」
俺はそれに答えることなく出入り口に向かう。
それと同時に右手を引っ張られた。
振り返ると天音は少し不機嫌そうな顔をしている。
「無視はよくないと思いますよ。」
「じゃあ何を話せばいいんだよ。
話す内容があったら答えてる。
話す内容が無いから帰るだけだ。」
淡々と答えると天音は
「はぁ、分かりました。
あと先生から伝言です。
授業はしっかり出るようにどのことです。」
厄介な伝言を伝えてきた。
「俺は帰るから無理だと先生に伝えといてくれ。」
面倒な為天音に任せると
「自分で伝えてくださいよ。
あと、授業受けないと留年しますよ?」
痛いところをついてきた。
「俺はいいんだよ。」
「どうしてですか?」
「さぁな。」
適当に流して俺は出入り口に向かう。
「再来月の文化祭の話し合いがあるので学校には来てくださいね。」
「行けたら行く。」
後ろからの面倒事に曖昧な返答で濁す。
濃い初日だったと感じながら帰宅するのだった。
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