第13話 準備

部屋に戻るとちょうど疾風が起きたみたいだ。

「わりぃ。

寝ちまってたみたいだ。」


昨日、疾風も泣いてたのだろう。

酷い顔だ。

「疾風。お前酷い顔だぞ。顔洗ってこい。」

疾風はそれに対して笑いながら

「お前もだいぶ酷い顔だぞ。一緒に顔洗いに行こうぜ。」

って言ってきた。



トイレの手洗い場でお互いに顔を洗っている。

お互い気まずいのかどちらも喋らない。


「い、いつから学校には行けそうだ?」


「カバンとか手配してもらえればいつでも行けるぞ。」

これが失言だったのだろう。

行けると入ったが覚悟はできていない。

しかし遅かった

「わかった。じゃあ、再来週の水曜日から頼むな。」

あぁ、やらかした。

後悔後に立たず。


そんな話をして社長室に戻るとそこには結構積まれてある書類があった。

しばらく自由になる時間は疾風には無さそうだ。

本人もそれを理解しているのか遠い目をしている。


「はぁ、とりあえず俺はこれを再来週の水曜日までに片付けてお前の制服姿見に行く。待ってろよ。

後はお前の新しい家だ。

用意はしてある。」

今日が金曜日のため学校生活までは今日含めてあと6日で1週間を切っている。

そんなことを考えてると鍵を渡される。

おそらく俺の新居の鍵だろう。

「住所はメールで送ってる。

色々とやることがあるだろうけどお前の方でどうにかしてくれ。

困ったら声をかけろよな。

できる限り手伝うから。」

そう言って疾風は仕事に取り掛かり始めた。

俺は病院に戻り一夜を過ごすのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る