第9話 友の死後
「翔へ
この手紙を読んでいるということは俺は死んでしまったのだろう。
同封している死亡保険金の書類はお前宛だ。
俺から最後のプレゼントだ。
ぜひ受け取ってくれ。
俺は難病が20歳前半で発覚して20歳後半になる頃には病院生活を余儀なくされていた。
その結果、彼女には捨てられた。
更にはお前も知ってると思うが俺は人とのコミュニュケーションが苦手でな。
見舞いに来てくれる友人なんて誰一人といなかった。
そして精神的に不安定になっていたときにお前が俺のところに来た。
お前は俺に対して深く聞かなかったな。
お前がそばにいるだけで俺は救われたんだ。
ありがとう。
俺はお前がいたから死ぬ間際まで満足して逝けたはずだ。
もし今後夢ができたらそのお金を使ってくれ。
後はたまには俺に会いに来てくれ。
病室でもいい。
それじゃあ俺は先に逝くよ。
あまり早く来るなよ。
またどこかで出会えたらその時もまた俺の友達になってくれ。
翔よ、今までありがとう。」
俺はその手紙を読んで涙が止まらなかった。
それから少し落ち込んだが切り替えて日常を過ごした。
それから俺は立樹の命日には二人でよく飲んだリンゴジュースを持って墓参りへ行く。
それ以外のときは、少し落ち着きたいときはこの部屋に来る。
ここは立樹の担当医のお陰で空室になっている。
この部屋と大樹のある場所は心の拠り所となっていた。
そして俺は誰もいない部屋で呟く。
「あと少し。
あと少し頑張って見るよ。
学校って楽しいのかな?
はぁ、何でこんな人生なんだろうね。」
そんな独り言をこぼしながら疲れが溜まっていたのだろう。
壁により掛かり眠りに落ちていく。
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