第8話 病院
病院に入り自分の部屋に向かう。
周りからは「変わり者」「可哀想な」といった話し声が聞こえてくる。
廊下を歩けば毎日のように聞こえてくるこの話にうんざりしている。
自分の部屋の前に行くと中から話し声が聞こえてくる。
少し聞き耳を立てると不快な声が聞こえてくる。
大嫌いな両親だ。
中からは
「……金が……わた……ふざ……しか……」
とクソ親父が騒いでるのが聞こえる。
もう片方は
「…の……あの……恩……」
と同意しているような声が聞こえる。
会いたくないためお互いに詮索をせずいい距離感の知り合い、立樹のいた部屋に行く。
立樹は俺が病院を徘徊していたときに見つけた同士みたいな奴だった。
立樹は30代を過ぎた人で余命持ちの人だった。
立樹は俺のことに関して何も聞かなかった。
だから俺も立樹の事に関して何も聞かなかった。
お互いにちょうどいい距離感で話をしていた。
話す内容は基本的に天気や体調、世間話等が一般的だった。
そんな立樹は3年前の12月上旬に無くなった。
死んだ立樹のもとに訪れたのは俺と立樹の担当医だけだった。
立樹の担当医はあまり喋るのを好まず立樹と似たようなやつだった。
その担当医から大きめの封筒を一つ受け取った。
そこには死亡保険金の受取人に俺の名前が書いてあった書類と手紙が一通入ってた。
初めは意味が分からず立樹の担当医にこれは?と聞くと担当医は
「手紙を読めばわかる。不要ならこちらで処理しておこう。」
そう言って死んだ立樹に合掌してその場を去っていった。
よく見ると奥の方に便箋が1つあった。
部屋に戻りそれを開けて初めてあいつの気持ちを知った。
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