第2話 変な奴

俺だけが知っていると思っていた場所に人がいる。

何故か分からないが少し胸のあたりがモヤモヤする。

しかし、そんな気持ちを振り払いそこに誰も居ないかのようにいつも通りな感じで木に寄り掛かりただボーっとする。

すぐ近くの女子を少し見てみると何もなかったかのように振る舞う俺を見て警戒なのか困惑なのかよくわからない視線を向けている。

ただ、正直どうでもいいので帽子を顔に乗せて寝る。

最近は夜も抜け出すことがあるから結構眠い。

そして眠りに落ちていく。



少年が寝ている。

少年はここによく来ているのかいつものように木に寄り掛かりすぐに寝た。

自分より少し年下だろうか。

身長は私より少し小さい少年だ。

こんなところに人は来ないだろうと思っていたため彼が来たときは少し警戒してしまった。

さっき目があったときはどうでも良さそうな感じの視線を向けられた。

そんなのは初めてだった。

自分で言うのも何だが私は顔が整っている方だと思ってる。

そのため私は、周りからは好奇の目で見られたり人から恨まれたりしている。

少し彼のことが気になったため声をかけてみる。

「ねぇ、君。」

声をかけてみるが反応がない。

そして少し心配になったため近づいてみた瞬間急に目の前の男の子がバタッと音を立てて地面に倒れ込んだ。

その光景にびっくりして急いで近寄ると少年は寝息を立てながら安らかな顔をしている。

その表情に安堵の息が出た私。

こんなにこっちは焦ったのに気持ちよさそうに寝ている彼に対して少しの苛立ちを覚える。

しかし少し心配の気持ちがある。

どうにか嫌がらせをできないかと少し考えるがやりすぎると気まずいので何か無いか考えてみる。

しかしよく考えれば今回以降合うかもわからないのでちょっとやり過ぎても…ということが頭をよぎるが振り払う。

取り敢えずぱっと思い付いたことをやってみる。

彼が起きたときが少し楽しみになった。



頭に違和感がある。

いつもは寝ている途中で倒れて頭とか体を痛めているはずなのに今回は少し楽になっている。

しかも、体感倒れたという感じではなく何故か寝っ転がっているみたいだ。

覚悟を決めて目を開けてみた。

いつもより早く起きたせいか日陰が少しかかっておらず眩しい。

そこで聞いたことのない女性の声が聞こえる。

「やっと起きたんだ。君。」

と目の前には女性の胸と顔の上らへんが見える。

現状を把握した俺は急いで起き上がり彼女から距離を取る。

彼女は寝る前に見かけた人だった。

ふと出た言葉は

「えっと…どちらさまでしょうか。」

とどう声をかければいいか分からなかったので無難な感じで声をかけてみた。

彼女はそれに答えるかのように

「私は天音咲。高校2年生。今年で17歳です。」

と自己紹介をしてくれた。

それに対して俺は

「俺は三上翔。今年17歳の同級生?ってやつだ。」

と自己紹介をした。

すると彼女は驚いたような声を出し

「同い年?」

と聞いてきた。

それの一言に被りながら

「変な奴。」

と率直な感情をポロッと言ってしまうのであった。

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