命の灯火が消えるその時まで
テラル
第1話 消える前の出会い
俺は、難病を持って生まれた。
そのため、生まれたときから病院で生活をしていた。
病名は詳しく覚えていない。
だって必ず死ぬと分かってるのに、病気について知ったところで意味が無いからだ。
家族は今ではもうお見舞いに来ることはない。
何時頃からだろうか、俺が死ぬとわかった瞬間から見放し、多額の保険金をかけているという話を聞いた。
それを知ったときは溢れんばかりの怒りがあったが今ではもう何も感じない。
死期は年明け。
医者曰く1月中旬には死ぬと教えてもらった。
死ぬ前に何かやりたいことがないか自分で考えるが今まで色んな事をやってきたから今はもう何も思いつかない。
恐らく今の俺は興味を持てないのだろう。
桜は散り、もうすぐ梅雨が訪れる日に今日も病院を抜け出していく。
看護師達はそれを黙認している。
もちろん最初の頃は注意をされた。
だが、それを聞いたところで早死するのは変わらないため、無視をして外に出た。15回目位だろうか。
何も言わなくなった。
それはそれで助かった。
どうでもいい小言を聞くと外にいる時間が減るからだ。
今日もいつもの外出用の服に着替え、薬と水筒、携帯を鞄に入れて病院を出ていく。
向かう場所は決まっている。
少しの裏路地を抜けた先にある森。
そのさらに中に入っていくとある一本の大樹がよく目立つ少し開けた場所だ。
少し距離があるが自分以外がいるのを見たことないぐらいひっそりとした場所だ。
だが今日は違った。
先客がいたみたいだ。
そいつは黒髪ロングで制服だった。
身長は俺より高く170は超えてそうな女子だった。
それが俺とそいつ。
三上 翔と天音 咲の初めての出会いだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます