第58話 核魚雷ポセイドン爆発
カロリーナ女王陛下は念の為コーネリアヘルモーズ大公国親衛隊候補生と共に鹵獲したUボート2隻に移乗して外洋に退避する。
魚雷発射員が急ぎ作業にかかる。
魚雷の一部を外し中に反水素容器を納めて密閉する。
そしてその魚雷を一番管に装填する。
ポセイドン着弾予想点まであと10分。
ポセイドンのAIに感知爆発される前に到達するように今回は音速魚雷を使う。
「魚雷管一番注水、魚雷管開け!てー!」
圧搾空気ではくげいから射出された魚雷は固体燃料に点火、魚雷先端からマイクロバブルを発生し、スーパーキャピテーション技術により水の抵抗を極限まで低減することで海中で音速を超える速度を出すことができるのだ。
予定地点に到達したポセイドンは音速で接近する物体を感知し、予定より早く起爆する。
まずポセイドンの外郭の原爆が爆発して内部に向かって高温高圧を発生させ、核融合を促して水爆が爆発する、はずであった。
原爆の熱と圧力は音速魚雷を一瞬で蒸発させ、内部の反水素容器も破壊した。
途端に周辺から光が消え、暗い稲妻のような球体に飲みこまれる、黒の球体と稲妻が消滅すると同時に核融合反応も停止、きっちり爆発はまるでなかったかのような静寂をもたらした。
あっけない幕切れだった。
大阪湾周辺には最大5メートルの津波が押しよせ、多くの家が流されて内陸部でも床下床上浸水を起こした。
モニタリングポストには放射能反応はわずかな地点でしか検出されなかった。
死傷者は100人程度出たが、多くの人は助かった、南海トラフ地震津波に備えた普段の訓練のおかげかもしれない。
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