第55話 天才王女と天才外相
潜水艦はくげいの食堂では沈黙が続いていた。
陽葵が口を開く。
「将門おじさま、もうポセイドンを防ぐ手立てはありませんの?」
「発射されてしまってはダメなんだ、ポセイドンにはAIが搭載されていて魚雷の接近を感知したら即座に起爆してくるだろう、到達地点だけは変わらないだろうから待ち受けることはできるだろうが、そこまでのコース選択はAIが決定してやってくる、迎撃は事実上無理だ、爆発させてはいけない以上もう取る手がないんだ。」
平将門はうなだれた。
「爆発させたらいいじゃない。」
一同が一斉に振り返る。
声を発したのは薫子ことカロリーナオルガ王女だった。
「薫子!、さん。冗談が過ぎるぞ、言っていいことと悪いことがある。」
蒼は薫子がいつもの調子でトンデモ発言やらかしたと思った。
「あら、真面目よ。」
薫子は皆の反応に少し驚いた様子だった。
昔から空気が読めないとは思ってたけど本当に訳がわからない様子だった。
「核魚雷ポセイドンの性能は資料通りで間違いありませんよね。」
「ああ、仕様の変更はない、この通りだ。」
「反水素爆弾はどうかしら。」
薫子はこれでも物理学の天才だ、その着眼点も的確だった。
平将門は身を乗り出して説明を求める。
薫子は続ける。
「トリガー用の原爆のみ爆発させ、そのエネルギーで反水素の容器を破壊、反水素を露出させ、水素爆弾の連鎖核反応の一部を欠損させたらどうなると思う?」
「核融合反応はなくなる!」
東村外務大臣が叫んだ。
この女性もまた天才の一人だ。
「そう!」
薫子は理解者がいたことを喜んだ。
「ダメだ、ダメなんだ。」
将門が頭を抱える。
「日本国は非核非反物質三原則があって一部の実験用を除いて自衛軍では保有してないんだ、米軍なら太平洋艦隊が持ってるかもしれないが、使用には大統領のサインがいる、緊急事態だとして緊急にサインしてもらったとしてもあと100分、太平洋艦隊からトマホークに搭載して大阪湾に打ち込んでもらうしかない、接触時の正負エネルギー量が完全に均衡しなければ全く意味がないどころか被害を倍増させる可能性すらあるんだ。」
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