第54話 大混乱

 その頃、大阪湾周辺都市では大混乱が起こっていた。


 あちこちに車がうちすてられて道路は麻痺し、山手に登る道路は人で溢れていた。

 移動が困難なお年寄りは家から動かないことを選んだ者もいる、無駄だとわかっているけど15メートル程度の津波避難櫓に逃げるものもいる。


 津波の高さ500の予想だが、あべのハルカスの高さを信じて上層階に避難するものも多かった。


 同様にタワマン上層階にも人が溢れた。


 もちろんまともに500メートルの大津波を受ければあべのハルカスごとき高さではその半分にも満たない。

 東京ならば東京スカイツリーの先端がわずかに海上に見えるレベルだからだ。

 もっとも津波のエネルギーであっという間にあべのハルカスも東京スカイツリーもへし折られるだろうが。


 徳島県や和歌山県は逆に少し移動すれば標高500メートルを超える地点も近いので人口が少ないこともあり2時間あればかなりの人数が安全圏に登れるだろう。


 深刻なのは淡路島だ。


 淡路島の最大の標高はせいぜい250メートル程度であり、淡路島全域が海に沈む。


 本土や四国に移動するにも最低100キロの移動が必要であり、2時間ではとても移動は無理だ。

 諦めて家に止まったり、高速道路周辺に避難するものも多い。


 空路は比較的空いているが、それだけ多くのスカイアーク台数はない。

 できるだけ高くに避難して神に祈るしかないだろう。

 中には自宅に津波避難ボートを用意している者もいるが、500メートルの大津波の破壊力にた耐えられるかどうかはわからない。


 そして明石市も例外ではない。


 二時間で三木市や西脇市あたりまで登らなけらばならない。


 もしくは漁船や観光船大型船に分乗して沖合に退避するのだ。


 津波の場合には海上や海中は比較的安全だと言われるが、100メガトンの核魚雷の威力は前例もなく予想も難しい。

 AIのシュミレーション結果では沖合まで避難すれば安全だろうという予測しかできない。


 カロリーナ女王陛下御一行は空路で避難することも考えたが、空中への放射能の影響を考えてそのまま外気と接触のない潜水艦はくげいに乗艦したま太平洋に避難することになっている。


 果たして明石は、大阪湾沿岸は、淡路島の運命やいかに。


 こうしている間にも核魚雷ポセイドンは刻一刻と大阪湾に接近している。


 近畿壊滅まであと100分

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