第51話 メタボックス
「こちらが通信設備ですわ。」
公恵は電話ボックス?を指差した。
冗談を言っているようには見えない、山本三十六はちょっと混乱した、俺は昭和にタイムスリップしたのか⁇
実はもう東村総理から招待が来て繋がっているのです。
ご案内しますわ、海佐は初めてでしたわね。
仲谷政務官が目で合図すると若い事務員が杓子のようなもので山本三十六の身体検査のようなことを始める。
「ではどうぞお入りください、総理がお待ちです。」
言われるまま電話ボックスに入る。
中に入ると小さなプラネタリウムのような球状になっている。
公衆電話らしきものはなく小さなストールがあるのでとりあえず腰掛ける。
「では市ヶ谷と繋ぎますね。後ほど私もご一緒します。」
ボックスのドアを閉めると真っ暗になったがすぐに明るくなった。
「そこ」には見覚えのある調度品と人がいた。
つまり市ヶ谷の自衛軍統合司令本部だ。
「もう5年ぶりか?山本三十六2等海佐、きつい任務ご苦労だった。」
東村総理大臣が話しかける。
横には官房長官と防衛大臣もいる。
これは、どういうことだ。
俺は明石にいたはずなのになぜ今市ヶ谷にいるんだ?
仲谷政務官が突然空間に現れた。
そして説明する。
「山本三十六2佐、これは2佐がプ連に渡った後に開発されたアメリカのメタ社の「メタボックス」ですわ。
「もちろん公衆メタボックスと違い、こちらは専用回線経由ですから外部にもれることはありません。」
どうやら俺がプ連にいる間にブレイクスルーが起き、新技術が開発されたようだ。
話によると、メタバースのうちデジタルツイン側の技術で現物そっくりの仮想空間を作り出し、時間や距離の制約なしに会話会議することができるらしい。
人物も本人を3Dスキャンしてそっくりに作れるらしい。
「2佐が持ち帰った情報はすでに皆さんと共有されてますので説明をお願いします。」
山本三十六はポセイドンの詳しいデータから作戦実行時間、原潜ベルゴロドの経路予定、全てを伝えた。
「ベルゴロドは爆発の影響から逃れるため紀伊半島の外海からポセイドンを発射し、鳴門の沖合30キロ地点で爆発させ、近畿と四国の半分を水没させる腹です、発射されてはもうう防ぐ手立てはありません、一撃でベルゴロドを沈めるしかないのです。」
「急いだほうが良さそうだな、防衛大臣、すぐに作戦計画を立案させてくれ。」
「山本三十六2等海佐、ご苦労様だった、今後の処遇は追って連絡する、奥さんと息子さんにも会ってないのだろう、ゆっくり休め。」
次回、思わぬ再会。
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