痴漢から助けた美少女が推しのアイドルだった。 ～彼女に溺愛されて俺だけこっそり同棲生活を始めました～

第46話 推しと初夜からの目覚め

推しと恋仲になるだけでなく、婚約まで果たしてしまうなんて、夢にも思わなかった。 

　未来たんと愛し合った、初夜を明かして翌朝のこと。 

　佐藤は、腕の中に柔らかな感触を感じ頭が覚醒する。 

　目を開けてみると視界に移るのは、未来たんの幼さの残る無垢な寝顔だった。 

　なんと、パジャマ姿の未来たんと肌を寄せ合い、密着して寝ていた。 

　数センチ先には、未来たんの顔があり、お互いの吐息がかかりそうな距離感だった。 

パジャマのボタンが外れて、服の隙間から、豊満な胸の谷間がチラ見する。 

　佐藤は、朝から元気になるわけにはいかなく、彼女から視線を外す。 

　「んっ．．．おはようございます、佐藤さん」まだ、眠たそうな目を擦りながらそう未来たんは声をかける。 

　「昨日は、いっぱいしましたね．．．．．．」 

「え！？俺、未来たんと一線は超えてしまったのか？！」 

（その言いようだと、まるで、昨日、ハッスルしたように聞こえて焦る） 

「ええ、たくさんしてくれましたよ。キス♡」と未来たんは、頬を赤くして言うのだった。 

「なんだ、キスか」 

「キスはキスでも大人なキスですよ。激しかったんですから．．．．．．」 

と未来たんは自分の唇を指でなぞり言う。 

その仕草が、妖艶で見惚れてしまう。 

「佐藤さん、おはようのキスは？」 

「ごめん、それだけは出来ない。いってきますのキスじゃダメか？」 

（寝起きのキスとか、菌の移し合いじゃないか。それだけはしたくなかった） 

「仕方ないですね、それでいいですよ」と名残惜しそうに言う未来たん。 

「佐藤さんそろそろ支度しないと、会社に遅刻しますよ」 

「ああ、今支度する」 

「朝ごはんの支度をしてくるので、準備していてください」と言うと未来たんは寝室を出ていった。 

朝食を済まして、会社へと出勤するのに玄関で靴を履いていると後ろから、トトトと 

未来たんが近づいてきた。 

「今日もお仕事、頑張ってきてくださいね」と弁当バックを渡される。 

「ありがとう、未来たん。行ってくる」 

推しからの愛妻弁当を手に、これで、今日も一日乗り切れると仕事へと向かう。 

「あっ、待ってください！」と未来たんに呼び止められる。 

「早く帰ってきてくださいね」と俺の胸板に顔を押し付けて甘えてくる彼女の頭に髪の毛を乱さないようにそっと掌を置き、優しく撫でる。 

「わかった、仕事が終わったら直帰するから待っていてくれ」と頭一つ分低い彼女の頭を優しく離す。 

そして、未来たんの 

唇に優しくキスをする。 

未来たんの潤んだ唇に口付けをし、佐藤は唇をゆっくりと離す。 

「ほら、朝の分。これでいいだろ」 

「ありがとうございます、充電できました」と未来たんは頬を朱色に染めて言う。 

そして、佐藤は仕事へと向かうのだった。 

　　　　　　　　　　　　　　　＊＊＊ 

月曜日の午前中の業務は憂鬱だ。 

八月の陽光の照り返しは激しく、クーラーの冷房では追いつかないほど、室内は熱かった。 

　だけど、仕事を終わらせれば、自宅で未来たんが待っていると思うと、頑張れた。 

アイスの缶コーヒーを飲みながら、襲ってくる暑さと睡魔との戦い、必死で耐えた。 

　そして、迎えた昼休み。この時を何よりも楽しみにしていた。 

未来たの手製の弁当を広げ、さあ食べ始めようという時に邪魔が入る。 

「佐藤先輩、お疲れ様です！」 

うちの会社の営業部の後輩の春風咲実だ。 

（新卒新入社員で俺にいつも、ウザ絡みしてくる。説明、以下略） 

「春風、お前はいつもいいタイミングで来るな」 

「え？！先輩が、私に会いたかったってことですか？」 

「違う！楽しみの時間を邪魔しやがっての方だ」 

春風は、ライトブラウンのミディアムヘアーを後ろで、ぽにてーるにまとめている。 

スタイルが良く、ワイシャツの上からでも、双丘の存在感が半端ない。 

（汗でワイシャツが肌に張り付き、ピンクのブラが好けているのは見なかったことにしよう） 

「お前、これでも、肩にかけておけ」と未使用のタオルを渡す。 

汗をかいたとき用に持ってきていたものだった。 

「え？タオルですか？」 

「そうだ、どうしてかは後で鏡でも見てみることだな」 

流石に、後輩のブラが透けたまま放置しておくのは、可愛そうだと思い、タオルを肩にかけてやる。 

春風は、広げられた弁当に視線を移すと、なるほど、といった顔をする。 

「そりゃあ、愛する嫁からのお弁当を食べる邪魔されたら、ご機嫌斜めですよね」 

「わかっているじゃないか。それなら、さっさと―」 

「あ、先輩これだけは、言わせてください。」 

「なんだよ？！」 

「未来ちゃんとの交際＆婚約、おめでとうございます！」 

「そのことか、ありがとう」 

後輩からの祝言は素直に受け取っておくことにする。 

「ところで、その後未来ちゃんとはどうなりましたか？」 

「どうって別に．．．．．．」 

「なにも無いんですか？」 

「なにってなんだよ！？」 

」 

「いやー、てっきりハッスルして、先輩のセンパイがバーニングしちゃったかと思いまして！」 

「春風、お前ってやつは．．．．．．」 

「イヤー！後輩に、なに言わせているんですか、先輩のえっちー！！」 

「いや、お前がなに言っているんだよ！痴女かよ！！」 

公衆の面前でよくそんなことが言えたものだと引いてしまう。 

「えっ．．．もしかして、本当にヤッたんですか？」 

「や、やっていない！キスしただけだ」 

「へー、キス、したんですか。先輩もやりますねー」 

しまった、言ってしまったじゃないか！ 

「うるさい！早く、弁当を食わせろ！」 

「まあまあ、何か進展があったら教えてくださいね」 

「お前に教える義理はないけどな」 

未来たんとの今後の進展をわざわざコイツに教えることなど必要ないだろう。 

春風が、去った後、やっと愛妻弁当にありつけた。 

弁当には、だし巻き卵にミニハンバーグ、春巻きが入っていてどれも、美味しそうで 

まるで、弁当箱が宝箱のように感じた。 

まずは、玉子焼きから手を付ける。 

　出汁が効いた甘めの味付けの玉子焼きは俺好みで美味しかった。 

　ミニハンバーグも、冷めてはいるが、旨さが、ギュッと凝縮されていて口の中が幸せだった。 

　春巻きも、衣に包まれた、具材がシャキシャキ触感でいい味を出していた。 

　未来たんからの弁当を 

食べ終え、充電された。これで、午後からの業務も乗り切れるそうだった。 

　　　　　　　　　　　　　　　＊＊＊ 

午後からの業務も滞りなく終わらせていき、終業時間まで、残り１時間というところで 

事件は起きた。 

明日、取引先に渡す発注書に記入漏れが発見されたのだ。 

佐藤は部長から残業を命じられ残業が確定して、定時に仕事から帰れなくなったのだ。 

「マジかよ．．．なんて日だ！」 

未来たんは、佐藤の帰りを楽しみにしてくれているのに、残念でならない。 

「先輩、ギャグを言っている場合じゃないですよ！仕事してください」 

「ギャグじゃねえよ！」 

この状況でギャグなんていえるか！それでも、手を動かすしかなく 

結局、残業を終えて、自宅に帰ったのは２１時を過ぎた頃だった。 

玄関に上り、リビング入ると、ソファに座りながら寝ている未来たんがいた。 

普段なら、彼女は就寝時間で、待ち疲れて寝てしまったのだろう。 

　愛しい彼女の可愛い寝顔を見たら、元気になるまではいかないが、少し気が楽になる。 

未来たんを軽く、揺すり起こそうとするが寝ぼけて起きない。 

仕方がないから彼女を抱き抱えて寝室のベッドへと運んだ。 

疲れていたから起こしてスキンシップする気にもなれずに、寝室を後にした。 

ダイニングテーブルには、夕ご飯が残してあり、佐藤は、疲労感を感じながら、 

ゆっくりと味わいながら食べる。 

そして、風呂にも入らずに泥のように眠ったのだった。 

　　　　　　　　　　　　　　　＊＊＊

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