第39話 推しからのご褒美
美来たんが無事にアイドルに復帰して俺は、また推しがいる生活に戻った。
それも、推しとの同棲生活と言う夢のような生活にだ。
美来たんを痴漢から助けてからお礼と称されてクリスマスデートをしてもらった。
彼女の卒業コンサートにも行った。間に合わなかったけど、その日に推しと友達となった。
そうして友達関係から美来たんとの関係が発展して彼女と同棲生活が始まった。
それから、遊園地デートをしたり、『放課後シスターズ』のお披露目ライブにも行ったりした。
困ったことに、世間に同棲生活がバレて、恋愛疑惑からの炎上騒動にも発展した。
そして、そんな困難を乗り越えて、美来たんが復帰会見を開き、『放シス』への復帰ライブも果たした。
色々なことがあった日々だった。
美来たんと出会わなければ、俺のブラック企業務めの社畜生活はもっと悲惨なものとなっていたことだろう。
今では美来たんのお陰で薔薇色の生活を送っている。
暑かった夏は過ぎ去り、木の葉は紅色に色づき季節は秋に変わった。
変わったと言えば俺が、WEBで連載している『デスマ同棲生活』が遂に書籍化を果たした。
発売日当日、俺は、美来たんと最寄りの書店に買いに行った。
小説は既に発売前に手元にあったのだけど、書店で実際に購入したかったのだ。
他のお客さんが『デスマ同棲生活』を購入しないかと終始、陳列棚の付近をろうろしていたが、美来たんから、「怪しいから、やめた方がいい」と注意され、大人しく、自宅アパートに戻ってきた。
「佐藤さん、今夜はお祝いをしないとですね。佐藤さんの小説の発売日なんですから」
「そうだね、ありがとう」
「今夜の夕ご飯は、腕によりをかけて作りますね!」美来たんもこの日の為に磨いてきた料理の腕を披露するつもりなのだろう、今から楽しみだ。
「それでと、頑張った人へのご褒美も用意しているので…楽しみにしていてください」
と美来たんは恥ずかしそうに頬を朱色に染めて、言う。
「なんだろう?検討がつかないな……」
あと、なんで照れているのだ?もしかして、えっちなご褒美なのだろうか?
いやいや、美来たんに限ってそれは無いか……ミニミーが元気になる時間にはには少し早い。 必死で冷静を装った。
「それはですね、夕食の後で、発表しますから、楽しみに待っていてくださいね」
「ああ、楽しみにしているよ」
夕食のご馳走より、ご褒美の内容の方が気になって仕方なかった。
***
夕飯は、俺の好きな、料理がずらりと食卓に並んでいた。
デミグラスハンバーグにエビフライに鯛の塩焼き。玉子スープまで付いていた。随分と豪勢な夕食に驚いた。
「美味しそうだね、俺、ハンバーグ大好きなんだよなー」
エビフライだって揚げ物料理の中では一番好きで、それを覚えていてくれた美来たんには感謝しかない。
「鯛の塩焼きなんて奮発したね。」
「はい、今日はめでタイ日ですからね。いつもより奮発してしまいました」
「やったー」
秋の季節は秋刀魚もいいけど、この日とばかりめでたい日だから食卓に並んだ鯛の塩焼きは絶品だった。
「美味しいよ、美来たん。ありがとう」
ハンバーグも肉汁が溢れ肉の味を堪能できて、エビフライも海老がプリプリで絶品だった。
「そうですか、お口に合って良かったです。料理人冥利に尽きるお言葉です」
「では、そろそろ、ご褒美の内容を発表したいと思います」
「う、うん。」
遂にこの時がキター!!内心でテンションが上がり、固唾を飲んで待つ。
二人の間に、しばしの緊張の一間が開き、そして美来たんは口を開く。
「ご褒美の内容ですが、それは……」
「それは?」
俺は、一語一句、聞き逃すまいと思い、耳を澄ますと、聞こえてきたのはとんでも無いことだった。
「それは、『わたしを好きにしていい券』です…」と美来たんは、茹でタコかというくらい
耳まで顔を真っ赤にして恥ずかしそうに言うのだった。
俺は、耳を疑った。自分を好きにしてもいいということは、つまり美来たんにあんなことやこんなことをしてもいいということでは無いだろうか?俺が美来たんに対する想いを統計すれば男として答えは決まっている。
そこで、俺が出した答えそれは……
「なんでもいいんだよね」
「は、はい。なんなりとお申し付けください。なんでもして差し上げますよ」
な、なんでもしてくれるのかー。よしっ!決まった。
じゃあ、『膝枕耳掻き』でお願いするよ』
「え?そんなことでいいのですか??もっと体を求められるえっちな要求がくると思っていました」とキョトンとしていた。
「いや、そんなことしないよ」
ていうか、そんなことをしたいと言ったら叶えてくれるつもりだったことに、驚いた。
と同時に少し後悔した。
でも、ここで、欲望の赴くままに、彼女の豊満なボディを求めたら、美来たんは、少しはためらいはするも、拒まないだろう。
だけど、理性のリミッターが外れてしまって野獣と化した俺は、美来たんに何をするか分からない。一線を超えてしまもかもしれない。
そんな愚かなことをして、美来たんに嫌われたくない!それだけは嫌だった。
「『膝枕耳掻き』だって、男からしてみたら、彼女からして欲しいことベスト3に入ってくるくらい人気ななんだぞ。だから、俺にとっては男のロマンを感じる最高のご褒美なんだ」
「そ、そうなんですか、そういえば、男の人ってそうゆうことにロマンを感じるんですね」
「そうだよ、そもそも、カップルでなければ、決して叶わないことだと思うから」
、今その男の夢が叶うのだ嬉しくないわけがない。
「じゃあ、いらっしゃい」とソファに座る美来たんは、自分の腿を叩いて俺を誘ってくる。
美来たんはショートパンツに生足を晒していてそこに何も隔てる物はない。俺は、ソファに横になり、美来たんの柔くもほど良い張りと弾力のある極上の枕に頭を預ける。
そうするとこの世のものとは思えない気持ちよさに心臓が跳ねる。
美来たんは、そっと優しく頭に触れ、髪を指先で梳いていてくれるそれが気持ちよくてうっとりする。
と同時に女性特有の甘い香りやシャンプーのフローラルな匂いが鼻腔をくすぐり
ドキドキする。今までこんなに密着することがあっただろうか?否!初めてのことに動揺を隠せなかった。心臓がバクバクと跳ねうるさい。
「それじゃあ、耳掻きしますね」と耳掻きで優しく丁寧に耳を掻いてくれる感覚に、
気恥ずかしくも心地よい感覚になる。
好きな人からの耳掻きだからだろうか?もう、明日、地球が終わっても悔いはないとさえ思える。
『我が、生涯に一片の悔い無し』とはこのことだった。推しから『膝枕耳掻き』をしてもらえる俺はなんて幸せ者なのだろう。
「はい、じゃあ、反対を向いてください」
と言われ一旦、仰向けになるとそこには大きな山が視界を塞いだ。重力に従い実っている魅惑の果実が存在感を放っていた。
ソレを凝視するのは目が毒で俺は急いでお腹側へと向きを変える。が生足を近視することになり、目のやり場を失い、目を閉じるしかなかった。
(こんなの気がどうにかしそうだ。声が漏れるのを必死で抑えて羞恥で気がどうにかしそうだ。心臓に悪いことこの上ない)
それでも心地良い耳掻きにされるがままにされる。ああ、美来たんに駄目にされる。
俺をここまで甘やかしてくれる彼女に俺は身を委ねる。
仕事へ行っても帰ってくれば美来たんからの極上の癒しが待っている。これで明日からも仕事を頑張れると思った。
***
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