第28話 炎上と配信
会社に出社して、デスクに座り、でスマホを弄っていると春風が俺の前へと現れた。
「先輩、おはようございます!今来たとこですか?今日は顔色がいいですね」
「ああ、おはよう。そうか?普通だろ」
(俺、前までそんなに酷い顔していたっけ?)
「いえいえ、この前なんか死んだ魚のような目をしていましたよ。でも今日は目が死んでいないのでいいことあったのかと。」
「ちょっと、迷っていたことが吹っ切れたんだ」
「そうなんですか。それは良かったです」
「そうなんだよ。最近色々あったからなー」
(でも、未来たんとの恋愛報道の件は春風には言わない方がいいよな。心配かけると悪いし)
「あと、先輩、『デスマ同棲生活』少し前まで更新を休んでいましたよね?何かあったんですか?」
「ああ、ちょっとな……」
(この前の恋愛報道があったからな。それで俺のwriterが炎上して大変なことになったのだ)
「でも、再開したんですね。おめでとうございます!」
「おお、ありがとう」
春風から再開を喜んでもらえるなんてな。珍しいこともあるものだ。
「再開は嬉しいですけど、今の『デスマ同棲生活』はちょっと……」
「なんだ?どうかしたか?」
「更新を再開してから以前に比べて勢いが落ちたというか……」
「そんな、いつも通りに書いているけどな」
(やっぱり、読者から見れば、今までのような勢いが落ちているように感じるのか)
「え!?そうなんですか。まさか、あれが本気とは言わないですよね?」
「え?どういう意味だ?」
(俺、何か変なことを書いたかな?)
これでも俺は、全力で小説を書いたつもりだ。それなのに、なんで手抜きをしてみたいに言われないといけないんだ?!
「俺はいつも通り書いたつもりだけど、なにか問題でもあったか?」
「問題、大アリですよ!なんですか?あの小説は!?」
「なんだよ!そんなにいけなかったか?」
春風がなんでこんなに俺の小説をこんなに酷評するのかが分からない何か自分では気づかない欠陥があっただろうか?
「自分で書いていて気付かないんですか?!先輩の小説、主人公の歩くんとヒロインの美海ちゃんのイチャラブ展開が売りなのに更新を再開してから、二人のイチャラブが激減しているんですよ!」
「そんな!ちゃんと書いているのに!」
(俺は、いつも通りに書いているつもりだった。それがどうして……)
自分で思っているより、恋愛疑惑の報道とアンチから言われたことが影響していたか?
「もしかして以前、先輩のwriterで炎上していた未来ちゃんとの恋愛報道が出たことが
影響しているんじゃないですか?」
「そ、そうなのかな……」
「先輩、もしかして、未来たんファンから反感を買わないように無意識に美海ちゃんとのイチャラブを避けていませんか?先輩の小説は、ヒロインとのイチャラブが無ければ、つまらない社畜小説ですからね!」
「そこまで言うか……」
(正直、ここまで言いか?というほど、春風の言葉はショックだった)
でも、春風に言われてハッとした。確かに、ここ最近のPVが落ちてきたと思っていた。
ここまで言われなければ気が付かなかった。今の俺の小説は、本来の良さ味に欠けた小説になっていたのだ。
「先輩、以前のような恥ずかしいくらいのイチャラブを見せて下さい!」
と春風からエールを貰ったのだった。
仕事中、どういう風に本来の良さを取り戻して書こうかと考えながら仕事をした。
***
仕事を定時で終えて自宅に帰った俺は、未来たんに玄関で出迎えられた。
「お帰りなさい、佐藤さん!」未来たんは俺が帰ってくると喜んでくれた。良い子にお留守番していた忠犬が尻尾を振って喜んでいるみたいで可愛い。
夕食の時、未来たんから「大丈夫ですか?小説書くの辛くないですか?」と心配された。
昨日のことがあったから未来たんなりに気遣っているのだろう
「
うん、大丈夫だよ」
「わたしで力になれることがあれば言って下さいね」
「ありがとう、未来たん、俺はアンチに負けないよ」
未来たんが応援してくれているのだ。春風も言っていたし、本来のイチャラブを見せればいいはずだ。
そうして俺は、やってやろうと決意し、その夜にいつも通りに『デスマ同棲生活』で
斉藤と美海の交際が周囲にバレてバッシングや誹謗中傷の批判を受けている中、それを上回る愛で、元、アイドルの美海との交際を発表する回を投稿した。
これにより、writerの方での反応が『ふざけるな!開き直りやがって!お前はもう小説書くな!』
などと火に油を注ぐ展開になりSNSは更に炎上した。
***
翌日、朝食時に佐藤さんが食欲が無くてご飯が喉を通らないみたいでいつもは、美味しそうに食べるだし巻き玉子にも手を付けないで箸を置く。
「佐藤さん、少し休んだ方がいいのでないのですか?こんな状態じゃ仕事も無理だよ。今日は仕事休んだらどうですか?」
無理して仕事に行ったってもただ、疲れて帰るだけどろうし、それなら家でゆっくり休養を取った方がいい。
「うnん、そうしようかな。」
「小説もしばらく休んで、何も考えないでゆっくりと体を休めて。」
「ああ、もう小説書くのもう嫌だ……」
佐藤さんは、すっかり弱ってしまっていた。わたしが元気づけてあげないと。
「あとは、わたしがなんとかするから」
佐藤さんは、わたしとの交際疑惑を持たれせいでわたしのファンから叩かれている。この事態を納められるのはわたししかいない。
これは、佐藤さんの為に、何よりわたし達の幸せな未来のために行動しなければならない。
その夜、わたしはwriterに『大事な発表があるので今夜二一時から急きょ、ITUBEライブ配信を行います。』とwriterに投稿したのだった。
***
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