第25話 さくらとお披露目ライブ

四月の下旬、上京してきてから都会の高校生活は少しずつは慣れてきた。地元みたいに博多弁で話していたら 

あだ名が博多ちゃんになった。 

 

 今まで地元で当たり前のように博多弁で喋っていったけど、そんなに可笑しいのかな? 

 

 でも、この人懐っこい性格のお陰で、クラスではボッチキャラにならないでそれなりに友達は出来た。 

 

 クールで大人っぽくて黒髪ロングでカッコいい優那ゆうなちゃん。美人さんで男の子からモテモテだけど、いつも塩対応でバッサリ斬っている。そこがまたカッコいいばい! 

 

 でも、わたしは知っている、優那ちゃんは本当は優しい子だって。 

 

  

 そして、男子達から付いたあだ名は、塩対応の女神様。優那ちゃんは不服だったみたいで 

言われる度に否定している。 

 

 もう一人の友達は、萌花もえかちゃん。幼い顔立ちに子供っぽくて前髪ぱっつんのボブヘアーの可愛い女の子。付いたあだ名は萌ちゃん。 

 

 始めは田舎者のお上りさんという風に見られていたけど、どうやら博多弁が好評だったようで「可愛い」などと言って貰えて福岡から出て初めて博多弁の人気の高さに気付いた。 

 

 学校では友達に囲まれていたけど家に変えれば一人寂しくの食事をする。味気ない。 

 

 学校から自宅に帰り、家の中でポツンと一人で一気に孤独感が押し寄せる。 

 

 別に、淋しくなんんかないやけんね! 

  

ご飯の味がしない。こんな淋しい気持ちになることは実家にいた頃は無かった 

  

いつも、食卓には家族が居て皆ご飯を楽しく食べていたっけ。 

  

はぁーあの頃に戻りたいなー。お母さんの料理が食べたい。 

  

上京して早々、こんなホームシック、になるなんて、地元にいた頃は自分がこんなnい弱くなるなんて思いもしなかった。最近、学校終わってからもアイドルレッスンとかで色々と忙しい。 

 でも、夢への切符を掴んだと思えば苦に思わなかった。 

  

『ピンポーン』突然インターホンが鳴る。 

 

 誰だろう?こんな時間に。と思いながら玄関に出てみるとそこに居たのは、手に大きなタッパーを持ったお隣に住んでいる未来たんだった。 

  

未来たんがわたしの家を訪ねてくるってどういう状況?「未来たんなんしようと?」わたしが困惑していると未来たんは戸惑っているわたしを見て「おかずを作り過ぎてしまったからお裾分けだよ。どうせなら、わたしの佐藤さんの家で一緒に食べない?」 

  

「えっ!?それは……」わたしは、その申し出に困惑して言葉が出なかった。 

  

「いいのいいの、恐縮しないで。二人分作るのも三人分作るのもそんなに変わらないから!」 

  

そう言ってくれるが、未来たんのお手を煩わせちゃう……更に恐縮するのだった。 

  

 結果、今わたしは未来たんと一緒に晩御飯を食べている。お母さん。聞いてください。 

わたしは今、憧れのアイドルと一緒にご飯を食べているよ。東京は何が起こるか分からない 

魔物が住む街です。わたしにとってのビッグイベント第二弾となったよ。 

  

第一弾は、ばり嬉しかった憧れの夢を掴んだあの出来事ばい! 

  

  

「いいのですか?わたしなんか未来たんと佐藤さんのお宅にお邪魔して……」 

  

現在、わたしは、お隣の佐藤さんと未来たん宅に夕飯を一緒させてもらっている。 

  

  

「そうだ佐藤さんとさくらちゃんに大事なこと言うの忘をれてた!」 

  

「え?なになに?」佐藤さんは興味を抱いてに未来たんに尋ねる。わたしも少し気になるけど言葉には出さなかった。 

  

「それはね!実は、ゴールデンウィークに新生放課後シスターズのお披露目ライブが決定したんだー!」 

  

  

「おおー!それは、必ず見に行かないとだな」 

  

「そ!さくらちゃんも、もし予定が空いていたら一緒に見に行かない?いい席取ってあげる。きっと楽しいよ!」 

  

  

「えーと…わたしは遠慮させてもらいます。その日は大事な用事があるから行けんばい」 

  

  

「そっかー用事があるなら仕方ないねー」残念だなーと未来たんは残念がっていた。 

  

だってその日は、大事な…わたしにとっての晴れ舞台やけん! 

  

「恋人水入らずでということで気を遣われたのかな?」 

  

  

「はい、せっかくのお二人のデートを邪魔したくないので」 

未来たんと佐藤さんのデートを邪魔する訳にはいかない。 

  

「じゃあ、お言葉に甘えてお披露目ライブは佐藤さんと二人で行かせてもらうよ」 

  

  

  

「はい、楽しんできてください」 

正直、佐藤さんとのデートは羨ましいけど、わたしと佐藤さんは隣人でしかないから。 

親密な関係じゃないから、でしゃばろうなんてしない。でも、わたしのことも見て欲しいな。 

  

こうして夕食はお開きになった。 

  

                *** 

 

ゴールデンウィーク最終日の日曜。今日は、新生放課後シスターズのお披露目ライブの日。 

日曜、カラッとした快晴で若干暑い。俺たちは お台場のZ EEPダイバーシティTOKYOに訪れていた。 

 

 メンバーの真凛ちゃんから未来たんと俺のオールスタンディングのVIP席を取っておいてくれたお陰で最前列の場所で見ることが出来る。一緒に来ている未来たんは「楽しみだね!新しい放課後シスターズ」にウキウキでテンションが上がっている。「そうだな、楽しみだ」 

  

いったい誰が、未来たんが在籍していた末っ子の妹メンバー枠に起用されたのか気になる。 

  

会場には、ひしめく男性ファン達の多さよ。そのせいか若干空気が薄い。 

  

「わぁーこんなにたくさんのお兄ちゃん達が見にきてくれるなんて、感激だなー」 

  

『お兄ちゃん』というのは男性ファンの愛称である。握手会に通っている頃は名前の後に『お兄ちゃん』と呼ばれることに興奮したものだ。男というのは美少女からお兄ちゃん呼ばれることに憧れを感じるものなのだ。男としての性なのだと思う。放課後シスターズは男の夢を叶えてくれるグループといえよう。ありがとう放シス。大好きだ! 

  

  

「まだかな?まだかな?」と未来たんは待ちきれないでソワソワしていた。 

  

 そうこうしている間に開演時間となり、ステージ上に真凛マリン唯花ユイカが登壇してくる。 

  

「キャー!きたー!真凛―!唯花―!」と全力で声援を贈る未来たん。 

アイドルを卒業した彼女はすっかりドルオタになっていた。本当に楽しそうだ。これが本来の未来たんなのかな。 

  

「あれ?新メンバーは?二人しか居ないよ?」 

  

「これから登壇するのですか?分からないけど」 

確かに三人体制の放課後シスターズが二人しか登壇していない。不安がる未来たん。 

でも、主役は遅れて登場するものだろ。「大丈夫。とっておきは後にとっておくんだよ」 

  

  

そして、ステージ上に登壇する最後の末っ子キャラの妹メンバー。 

 

 桃色の髪をツインテールに結っている。妹キャラといったらツインテだ。分かってらっしゃる!「「可愛いー!」」会場中が熱狂に沸く。 

  

が、俺は、彼女を見て、桃色の髪色に妙な既視感があった。この胸騒ぎはなんだ? 

  

  

  

「みんなーお待たせー!わたしから自己紹介するねー!いいかな〜?」真凛が声かけをすると客席から野太い声で 

「「いいよー!!」」と声援が飛ぶ。俺も返した。 

  

「広い海のように大きな愛であなたを包む、海原真凛です。放シスはお姉ちゃんに任せなさい!」 

  

「「真凛ちゃんの愛に包まれたいー!」」と複数人の男性ファンが叫んだ。出だしは好感触のようだ。 

  

「じゃあ、次はわたしがいくねー!」 

  

「それじゃあ、唯花どうぞ!」 

  

  

「海に咲く一輪の花!いつも元気!お兄ちゃんたちに唯花の元気を分けてあげるー! 

海原唯花です。放シスのムードメーカーはお任せあれー!」 

  

真凛と唯花の自己紹介が終わり、最後に新メンバーの自己紹介になり彼女は、自己紹介を始める「春といったらー〜?(桜〜)わたしの名前はー?」(さくら〜)高校一年生、一六歳の小咲さくらです。小さくても桜に負けない満開の笑顔で、皆を癒したいです!よろしくお願いします」と自己紹介を終える。この桃色の髪に声そしてさくらという名前。 

俺の中で照らし合わされるある人物が思い起こされるのだった。もしかして彼女の正体は?! 

  

  

  

                                *** 

読んでくれてありがとうございます。 

やっと、以前から書きたかったアイドル編に入れました。 

これからも頑張って更新していきます。 

  

応援、よろしくお願いします!

  

  

  

  

 

 

 

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