第19話 推しとDストア

通り魔騒動の後、職場の同僚の橋本や後輩の春風、天城先輩に。お土産を買おうとドリームストアに訪れた。






 少し過ぎてしまったけど、春風、と天城先輩たちのホワイトデーのお返しを兼ねて買おうと選んでいく。




 うーんどれがいいんどろう?




「チョコレートにポップコーンにフィナンシェのどれがいいかな?」




とドリームキャラクターがデザインされたお菓子が並ぶ。




 色々あるお菓子のお土産に目移りしていると未来たんが「これなんかよくないですか?」とハチミツの壷を模したクッキー缶を指さす。






壷を抱えたムーさんがデザインされたクッキーだった。




「可愛いな」




「ですよね!これなんかどうでしょう?」




「そうだな、クッキーなら日持ちもするだろうし春風たちのお土産にいいかもな!」


可愛いクッキー缶だし、可愛いもの好きの春風はきっと喜ぶだろう。




お土産はこれにしようと、ムーさんのクッキー缶を選ぶ。




「佐藤さん、せっかくだから二人の思い出に、でお揃いの小物…買いませんか?」




 未来たんは照れながら言う。可愛いな。




「おっ、いいな!それ。二人でドリームランドに来たんだ遊園地初デート記念に買おう。」


未来たんとお揃いかー。なんだか恋人っぽいぞ!これにはテンションが上がった。




「未来たんは、やっぱりこういうの好きなんだ」




小物コーナーにはキーホルダーやラバーストラップ缶バッチなど色々な商品が置かれていた。


「これなんてどうですか?ラッヴィのスマホストラップ」


このウサギのキャラクターはドリームランドでしか売っていなくて大人気キャラだ


昨日、パソコンでリサーチしておいた。






「佐藤さん、知っていますか?ラッヴィのストラップは、恋人同士でお揃いで付けるとラブラブになれると言われているんです。」




「よし、買おう。」




俺たちは恋人同士ではないけど、友だち同士として、


ラブラブだ!バカップルにはならないが、未来たんと愛を育んでいきたい。






「でも、佐藤さんこのストラップ、お揃いで付けるとラブラブですけどどちらか片方がストラップを無くすとそのカップルは破局すると言うジンクスもあるんですっ!」






「そんなの、無くさなければいいだけだろう。へっちゃらだ!」


ジンクスはジンクス。本当にそうなるわけじゃないし、そんな深く気にすることでもないだろう。






「そ、そうですか?ならいいんですけど……」未来たんは不安そうにしていた。




「大丈夫。俺たちの同棲生活が終わるわけじゃない。心配することはないから。」




未来たんの不安を払拭するように笑い飛ばしたら「そうですよね!」と未来たんも笑顔になった。




「俺は、通常カラーのベージュのラッヴィを買うよ」




「それじゃあ、わたしは白を。可愛いですね」






「うん、大事にしような」


記念すべき、未来たんとの初めてのお揃いストラップは嬉しかった。






少し、不安はあったけどお揃いのストラップと春風たちのお土産でクッキー缶をカートに入れた。






未来たんは、ぬいぐるみコーナーで立ち止まり、ぬいぐるみと睨めっこしている。






「何か気に入ったものでもあった?」




熱心に、ぬいぐるみを見ているものだから何か目当ての物を見つけたのかと思った。


やっぱり年相応の女の子なんだなと微笑ましくなった。








「いえ、あの…ムーさんのぬいぐるみが可愛くて……欲しいとかじゃないんですけど目が離せなくて……」






欲しいんだな。女の子らしくて可愛いな。




「欲しかったら買ってあげようか?」


欲しいなら遠慮はしなくていい。そう思い訊いてみたのだけど




「そんな、いい年してぬいぐるみが欲しいとか子供みたいじゃないですか!」


と未来たんは拒んでしまった。




 未来たんは童顔でロリフェイスだ。その様はJCがクマのぬいぐるみを欲しがっているが、


抵抗を感じているようで、年相応の子が欲している様にしか見えなく、なにも可笑しくはない。






「そう?俺もいい歳してフィギュアとか欲しいと思うけどな」




 欲しいと思うけど、買いはしないがな。置き場所にも困るし、何より最近のフィギュアは高いから、社畜には手が出せないのが現状だ。




 それに未来たんみたいに幼い顔立ちでぬいぐるみが欲しいなんて言ったら、妹からねだられているようで可愛くて思わず買ってあげたくなる。アトラクションの時もそうだったけど、ムーさん好きだよなー。




 改めて、ムーさんのぬいぐるみを見る。ドリームキャラの中で大人気のクマのキャラクター




黄色い毛並みにオレンジ色の半袖Tシャツを着ていて下は何も履かないで半裸の格好で、を露出している。




 片手には、ハチミツの壺を抱える食いしん坊なクマさんだ。こんなキュートな見た目じゃなかったら間違いなくただの露出狂の変態クマだろう。






「でも、諦めますっ!わたし、大人ですから!」


未来たんは目をきつくつつむり『大人』を強調して必死で欲求を堪えている。




 こんな姿、今まで見たことなかった。これが未来たんの素の姿だろう。幼児後退していて幼くて可愛い。


 いや、なんだ?そのロリコンみたいな思考回路は!?自分で己がキモく感じる。




 その外見で言われてもどう見ても、中学生の子供みたいなのだけど」


「佐藤さん、」そんな風にわたしを見ていたんですか?ロリコン!へ、変態!」


「違う、俺は変態じゃない!」




「じゃあ、ロリコンだ!」




「それも違う!」




どうやら、未来たんは子供扱いされるのが嫌いなようだ。




 そして、未来たんの決意は固い。




 二十歳だろうとぬいぐるみくらい買ったっていいと思うんだけどなー。




 そのまま俺と未来たんはムーさんのぬいぐるみを会計に出すことなくドリームストアを出た。




「あっ、俺、ちょっと買い忘れたものがあるからドリームストアにちょっと行ってくる」




 ドリームストアを出て少し歩いたところで俺には一つの心残りがあり、ドリームストアに引き返すことにする。


「買い忘れですか?早く戻ってきてくださいね」




「分かった、すぐに戻るよ」と応えて俺は、再び、ストアに戻ると、お目当ての物を購入すると大事にリュックに仕舞うと未来たんの元へと戻った。




声を掛けようかと思ったが彼女の前に一人のチャラい男性が、未来たんに絡んでいた。




「お嬢ちゃん、パパとママとはぐれちゃったたの?お兄さんが一緒に探してあげようか?」






「い、イヤ......」


未来たんは恐怖で固まってしまっていた。


 ナンパだ!未来たんは元、アイドルだから超絶に可愛い。男が黙っておくはずがなかった。




 それに、彼女は痴漢された弊害で男性を極度に怖がる節がある。




 早く、助けに行かないと!


「未来たん!お待たせ。待った?」


と待ち合わせに遅れてきた彼氏を装って登場する。




「ちっ男がいたのか......」と言い残しばつの悪い顔をする。




「あの、俺の彼女になにか用ですか?」




「彼女?!お前のか?どう見てもお前、オッサンだろ。援交か?」




「この際、どっちでもいい。彼女が怖がっているから早く、どっか行ってくれないかな?」




「カッコつけてんじゃねえぞ!この、ロリコン野郎が!」




「その言葉、そのままお返しするけどな」


ナンパするなら渋谷にでも行けってんだ。夢の国を汚すな!




「お、覚えてろよー!」とチャラ男は去っていった。




悪い、明日には忘れる。ナンパ野郎を覚えておく程頭のキャパ無いものでな。






「あっ、佐藤さん!戻ってきた。目当ての物は買えましたか?」




「ああ、買えたぞ」




何を買ったかは明かさずに買ったことだけを伝える。




 でも、それだけじゃ済まないよな。




「何を買ったんですか?」




「ちょっとね、少しえっちなやつ。」






「ドリームストアにそんな過激な商品は無いですよ!」




あるには、ある。




さっき見たムーさんのぬいぐるみなんて露出度から言えば最高にエロいだろう。




「夢の国でそんなこと言わないでくださいっ!」と未来たんから厳重注意されるのだった。


                  ***


読んでくれてありがとうございます。


遊園地デート編をもう少しお付き合いください。


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