第15話 推しとドキドキお風呂
未来たんとの同棲の初日の夕食はピザワットの宅配ピザを注文することにした。
モッツアレラチーズのマルゲリータとポテマヨソーセージと付け合わせにフライドポテト。
飲み物はコーラを付けてなんとも豪勢な夕食かと思ったけど、たまにはいいだろう。
未来たんと食べる宅配ピザは、と恋人一緒に特別な日の夕食を食べているみたいでスペシャル感があってウキウキする。
未来たんは、小口ではむはむと食べているのが可愛くてつい、見てしまう。
そんなに見ないでください、恥ずかしいです......」
と顔を赤くしてそっぽを向いてしまう。
「ごめんごめん。どう、美味しい?」
「はい、美味しいですよ」
「佐藤さんこっちのマルゲリータも美味しいですよ」
「じゃあ、貰おうかな。ほんとだ、美味い!」
モッツアレラチーズの濃厚な味といいコクがいい。カフェオレがすすむ。
「あっ、わたしビール開けてしまってもいいですか?」
「いいよ、じゃんじゃん飲んでくれ」
そうだよな、ピザにはビールが合う。まあ、俺はカフェオレの方が好きなんだけど。
とにかく、今日一番の功労者には大いに羽を伸ばして欲しい。
「ふふふ、マルゲリータとビールが…合います。ほら、佐藤さんも飲んでー」
「え?未来たんもう、酔っているの?」
俺は、アルコールってあまり得意じゃないんだけどな
酔うと積極的に絡んで来るんだな。そっちの方が素が出ていて可愛らしいと思う。
ということは、いつもは清楚なカリスマアイドルを演じていたのか。
「こんなわたしは魅力はないですか?いつものアイドル方がいいのですか?」
「いや、ありのままの未来たんの方が可愛いよ!」
だって、これって、俺を信頼して素の性格を出してくれているってことだよな?
それって、なんだか凄く嬉しい!
「ご馳走様でした」
「はい、お粗末様でした。美味しかった?」
「はい、すごく美味しかったです」未来たんは満足した様子で言う。
未来たんに喜んで貰えたようで良かった。
未来たんは食べ終わったピザの空を片付けに入っていた。
俺も使った皿をシンクに持っていく。
「佐藤さんはゆっくりしていていいんですよ?」
「いや、自分が食べた後始末くらいさせてくれよ」
後片づけもしないでぐーたらするとか何様だよ。俺には、そんな真似はできなかった。
「そうですか?ありがとうございます」と少し照れたように微笑む。
「未来たん、ちょっと休んだら順番にお風呂に入ろう」
「え?一緒にお風呂に入ろう?!それはちょっと......」
「いや、言っていないっそれはないって!」
一緒にお風呂に入ろうと言おうものなら引かれるよな?
だってまだ、恋人じゃないし、こういうことはゆくり焦らすように、それでいて積極的に段階を踏んで進めていくべきだ。
そもそも、恋人じゃないのに同棲するとか、それこそ、段階をすっ飛ばしている気がするが。
特に、未来たんみたいな恋愛に奥手な女性からはいきなりがっつくと嫌われてしまうだろう。
「はい、それじゃあ、佐藤さんが先に入ってください」
「そう?ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて……」
風呂に入って頭を洗いながら考え事をする。電車で痴漢から助けた美少女が未来たんだった。
それで彼女に惚れられて未来たんはアイドルを辞めた。そうして、彼女と会う回数を重ねて憧れのアイドルと同棲生活をすることになった。
今までは、俺のアフター5は灰色で淀んでいた。でも、今は景色がカラフルで薔薇色で彩られていた。
元、カリスマアイドルとの同棲生活。
どうか、世間にはバレませんように。と心から願った。
頭を洗い終わった。
体を洗おうかという時、バスルームの戸が、ガチャリと開く。
なんだと思ったら、体にバスタオルを巻いただけの一糸まとわぬ姿の未来たんが入ってくる。
タオルが体にフィットして、胸の大きさが強調されて大変なことになっている。
どこがとは言わないが、タオルからこぼれ落ちそうになっているのだ。
二十歳なのに見た目は幼く見える彼女も、ある一部分は大人顔負けに成熟していた。
俺のスモールウェポンが反応してしまい、慌てて前を隠す。
「な、なんで今入ってきているの!?未来たんダメだよ!だって俺、今......」
俺は、目のやり場に困り動揺して訊く。もう心臓が飛び跳ねてうるさかった。
「佐藤さん、お背中を流しにきました」
俺のミニミーが反応してビッグうウェポンになりそうだ。
未来たんは、ボディタオルにボディーソープを垂らして泡立てていく。そして、優しく背中をゴシゴシ洗っていってくれる。
「よいっしょ。よいっしょ」と一生懸命に掛け声と共に背中を洗っていってくれるのがいちいちエロい。まるで、中学生の妹から背中を流してもらっているみたいで気恥ずかしかった。
いや、妹からそんなことしてもらったことはないけど。
「佐藤さんの、大きいですねー。たくましいです」
「えっ?!」
それはどこの部位を言っているのだろうか?未来たんは俺の背中越しにいるから前は見えないはず。
「やっぱり女の子って大きい方が好きなの?」
自分で言うのもなんだがそんなに誇れるものは持っていない。
「そりゃあ、小さいより、大きい方が男らしくて好きですね。
「えっ…未来たんて意外とえっちだね」
「え?えっちですか?男の人だって大きい方が好きじゃないですか!」
そりゃあ、どこがとは言わないけど、大きいか小さいかどっちが好きかと聞かれれば前者だろう。男として。
「だから、佐藤さんの背中も大きくて男らしくて好きですよ」
ああ、背中ね!うん、分かっていたんだからね!
「未来たん俺、もう上がるね!」
もう色々と限界だった。俺の中の狼が目覚めそうだった。
お酒に酔っていて天然なまま積極的になっている未来たんの応対はキツかった。
***
未来たんとの同棲初日の夜のこと、寝室で問題が発生していた。
男の一人暮らしは、勿論、寝室にはベッドが一つしかない。
そのっベッドを誰が使うかで揉めていた。
俺はグレーのスエット。未来たんは猫耳フード付きのブラウン色のルームウェアを着ていた。
未来たんが着ると可愛さ倍増ですごく似合っていた。
「未来たんがベッドを使ってくれ俺は、床で寝るから」
俺は、男だ。ベッドでなくてもどこでも寝られる。よく会社の椅子を連ねて仮眠をとっていたから、これくらいなんてことはない。
だけど女の子を床で寝かせるなんて男としてそれはできない。仮にも元カリスマアイドルだ。そんな彼女を差し置いて自分だけベッド寝るなんて畏れ多い。
「それじゃあ、佐藤さんが風邪を引いててしまいます」
「未来たんこそ風邪を引いたら大変だ」
「ぐぬぬぬ…」
「ぐぎぎぎ…」
なんんて頑固で強情な人なんだ。流石はアイドル、我が強い。
「わかった、それなら一緒に寝よ、佐藤さん!」とベッドをポンポンと叩く。
えっ……なんて?
「わたしを床で寝せるのが嫌なんですよね?なら、一緒に添い寝、しませんか?」
「添い寝、だと……」
それは、全男の夢で神シチュエーション
まだ、酒に酔っているのだろうか?そう言えば、酒に酔うと普段は隠している素の性格が出てくるって聞くな。
こうして俺と未来たんは一緒のベッドで寝ることになった。一人用のベッドでに二人して寝るものだから当然、体の密着は避けられなかった。
いろんなところが当たって、気が気じゃなく理性が吹き飛びそうで堪えるのが大変だった。
佐藤さん、もっとくっついていいですよ」
「で、でも……」
これ以上くっついたら未来たんのが当たってしまう。
未来たんの胸は大きい。密着して寝たら横乳が俺の腕に当たってしまう。
「あの、未来たん。胸が......」
「恥ずかしいですけど、少し当たってもいいですよ……」
と視線を逸らして頬を真っ赤に染めて言未来たんが甘い声で囁いてくる。
本当は恥ずかしくて堪らないはずなのに我慢してくれているんだ。
え?いいの?不可抗力でパイタッチを許してくれるというのか?それってもう恋人の域なんじゃ……
「ご、ごめんね少し当たる」
俺は、優しく言う。今の、心境は紳士で煩悩なんて抱かないで真摯に言う。
瞬間、左腕になんとも言えない柔らかいマシュマロ感触が当たり体中に電撃が走った。
これは、ヤバイ!お風呂上がりでシャンプーのいい匂いもする。
同じものを使っているはずなのに、香りが全く違った。
女性特有の甘い香りとボディソープの香がま合わさっているからだろうか?ああ、頭が蕩けそうだ!俺は、どうにかなりそうだ。
すぐ隣には無防備な彼女がいる。
早くも理性を失いかけ、このままでは、押し倒してしまいそうな衝動と欲求に駆られるも必死で耐える。
そこは、ファンとしてそんな最低な野郎にはなりたくなかった。
結局、その夜は自分自身との性欲と理性の戦いで一睡も出来なかった。
そんな俺の葛藤も知らずに未来たんは安らかな寝息を立てているのだった。
***
読んでくれてありがとうございます。
2023.11月12日に再編して更新しました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます