第14話 推しとドッキリとお掃除

未来たんから同棲生活の提案をされて、休日の日曜日に未来たんが俺のアパートに越してくることになった。




 聞くところによると、未来たんの家はパパラッチにマークされているから、同棲するなら、ノーマークの俺の家で一緒に暮らした方がいいとのことだった。




平日の仕事中、未来たんとの同棲が始まると思うとテンションが上がって仕事が好調だった。




橋本は、「なにかいいことあった?」とへらっと笑い、聞いてきた。


 春風は、上機嫌な俺を怪しんでジト目を送ってくる。


(やめろ。そんなに見てくるな。ニヤケ顔が止まらないんだよ)




「先輩、最近おかしいです。なにか隠していませんか?」といぶかしむ、


疑いの目でジト目を送ってくる。俺は、同僚や後輩に未来たんと同棲することを悟られまいと平常心を装うのだった。




天城先輩も、これは何かあると思っているのか春風と同様の顔をしていた。




こうして、一週間の業務を滞りなく終わらせて、本日は、未来たんがこの家に越してくる日曜日となっていた。




朝食後のコーヒーを飲んでいると未来たんからMINE《マイン》のメッセージが届く




開いてみると、『おはよう、佐藤さん!今日、午後からそっちに行くね。軽くお掃除しておいてくださいね』とあった。




掃除と言われてもこの惨状はどうしたらいいのか……できるものならとうにしている。


リビングのにゴミ袋が乱雑に置かれ服も散乱し雑誌も置きっぱなしで汚部屋と化していた。




どうしたものかと考えているとインターホンが鳴った。


(誰だ?こんな朝っぱらから。宅配便は頼んでいないしな)


見当もつかづに玄関の扉を開けると、そこにはサングラスに帽子を被った、ロングヘアーのロリ系美少女?が立っていた。


(え?どちら様ですの??)と困惑する俺。新手のセールスか?!


「佐藤さん、おはようございます。来ちゃった!ビックリしましたか?」




「そりゃあ、まあ…午後から来るんじゃないの?」




「えへっ、ビックリさせようと思って、扉の前で送ったのがさっきのマインでした」






「いや、ビックリしたけど……」




まさかの彼女の行動に度肝を抜かれえいた。心の準備がなにもできていないよ!




「やったー!ドッキリ大成功―!ですっ。」




あっ、最後は丁寧語になるんだ。可愛い。




それでも、こんなことはやめて欲しいのが本音だ。いくらアイドルから朝のドッキリをされても、こっちにも心の準備がある。




「未来たん、今度からこういうことはやめて欲しいな」


嬉しいけど、正直なところ心臓に悪い。


「すいません、喜ぶかと思ったんですどねー」






「いや、困惑しました」


正確には嬉しい反面、どう反応していいか困ったのだ。決してイヤだったわけではない。


「すいません、今日から一緒に住むから今後はこういうことは無いと思いますよ」






「ほんと?不意にドキッとさせるのもダメだからね」




「わかっていますってー、安心してください。エロドキは無いですよ?」












「ドッキリは、置いておいて…佐藤さん!なに?この散らかりようは?!」




リビングまで来たところであまりの汚部屋の惨状を見て。そんな有様に未来たんは呆れていた。






「あ、いや…これは!」と喉の奥から声を絞り出すも、これが現状としか言えない。




「前から思っていましたけど、佐藤さんの家は汚すぎます!前までは、知り合って間も無かったですし、男の子の部屋ってこういうものなのかなと思って割り切ってしていましたが、


一緒に暮らすのだから、もう言わせてもらいます!」






「冷蔵庫の中身も、わたしが食材を買ってこないと空っぽですし、毎日、なにを食べて生きているのですか?!」




「え、コンビニ弁当やカロリーメイドやバランスブロックとか……」




「もう、栄養が偏りますよ!あと、栄養補助食品を主食にしないでください!あくまであれは、主食のでは補えない不足しがちな栄養素を摂るためのものですよ!」




「うっ、気おつけます……」


正論なだけに言い返せない。あと俺の体を心配して言ってきてくれているんだと思うと嬉しかった。




「今度からは朝食から夕食までわたしが手塩にかけて手料理を作ってあげますからね」




六歳も年下から母さんのように叱りを受ける俺って……でも、ウザイなんて思ってられな


い。




 俺のことを心配して口を出しているのだから感謝こそすれど、迷惑なんて思わない。


 気を遣ってくれて、これからは毎食未来たんの手料理が食べられると思えば嬉しかった。




「まずは、リビングから片付けましょう必要な本は縛って収納、要らない本は縛って捨てますよ」






しばらく黙々と作業をする未来たん。俺が、本を仕分けて未来たんが縛る。






ふと、未来たんが本を踏みつけて体勢を崩してしまう。俺は、未来たんの体を支えて密着して、彼女の膨よかな胸が腕に当たってしまう。柔らかいマシュマロ感触に衝撃を受ける。


 危うく、理性が吹っ飛びそうになった。


「大丈夫?未来たん」


だけど、俺の方が大丈夫じゃなかった。未来たんの胸の感触に頭が蕩けそうになっていた。




吹き飛べ煩悩、堪えよ理性。ラッキー&スケベ!と煩悩と理性が心の中でぶつかり合う。




「はい、なんとか大丈夫です、ありがとうございます」






ふと、なに滑ったのかと思い未来たんは視線を落とす。それを見た彼女は……






「佐藤さん、ダメでしょっ!わたしの写真集をこんなところに放り投げて……」




「あ、それは!」




仕事から疲れて帰ってきて真っ先に見る未来たんのファースト写真集だった。


 疲れている時に未来たんのそういった写真を見るのは疲れた心が癒されて俺にとっての心の処方箋だった。


「すみません、少しシワになってしまいました……」




「大丈夫、これは鑑賞兼作業用だから」


保存用はちゃんと私室の本棚に大切に収納してある。


「えっ…作業用?」




未来たんは不思議そうな顔をする。と、何かに気付いたように、カーっと顔をリンゴのように真っ赤にする。


「そうですよね、男の人だから......しますよね?」


 あ…まずった!


「あっ…イラストも描いたり作業するための作画資料用ってことだよ!」




「なんだ、そういうことでしたか。絵も描かれるんですね、わたしはてっきり......」




「言っておくけど、未来たんのことを変な目では見ていないからね!」




「は、はい。でも佐藤さん、これからは一緒に住むんですから我慢できなくなったら言ってくださいね?わたしにできる範囲で、その......お相手しますから」




え?いったい、なんのお相手だろう?清らかな心の持ち主だから分からないな。




「男の人ってそういうことを、好きな女の子とヤルの好きなんですよね?わたしはあまり経験ないのですけど、キライじゃないので。佐藤さんとなら、やってみたいです......」




え?いいのか?!ほんとに!だってそれって男と女が、×××することだろ?!




こんなことを推しから言われるなんてー!がっついたら引かれる!


「わたし、あまり上手くないので、いろいろ教えてくださいね」




「未来たん、俺は別に、無理にそういうことはいいから。自分を大事にして!」


そいうことはお互いが求め合ったときにするものだ。俺の一方的の欲情ですることじゃない




え?でも、わたし弟ともよくせがまれてやっていましたよ。」




「え??弟くんとやっていたの?」




「はい、夜にわたしの部屋に来て一緒にやろうと言ってきていましたね」




「因みに当時の弟くんの年齢は?」




「一五歳だったでしょうか?」




丁度、盛んな時期じゃないか!そりゃ、思春期ともなればそういうことに興興味もでてくるか。


 でも、姉とするのはどうだろうか?!




「でも、わたしが実家を離れてからはお母さんに夜の相手を頼んでいたみたいです」




「え!?お母さんに!!」




「ええ、うちの母はスゴイんですよ!」




未来たんのお母さんということはきっとスタイルもいいのだろう。




ていうか、実の姉と母相手にするとか、見境ないケダモノか!




「なんだか、弟くんの将来が心配になってきたよ」




「そうなんですよ将来はプロとして活動したいとか言い出したときはビックリしました」




え!?男優にでもなるつもり??それは家族も心配するよな。










「佐藤さんも、どうしてもやりたくなった時は一緒にしましょうね。いつでもお相手しますから。対戦ゲーム」




「ああ、ゲームね!スマ〇ラなら負けないよ!」


さっきの言いだとセッの相手かと思って焦ったー!


危ない、なんとか誤魔化せたかな?




その後、寝室の掃除・片付けをして昼食は、未来たんが作ってきてくれたサンドイッチを食べた。レタスにはむ玉子に厚切りトマトが挟んであってサムウェイのサンドイッチみたいで美味しかった。




午後からは未来たんの荷物が届き、二人して荷解きして片付けた。あっという間に夕方になった。




「ふー、終わったー。もう疲れたー」




「お疲れ様今日は手伝ってくれてありがとう。夕食は、宅配ピザでも頼む?夕飯作るの面倒でしょ?!」


掃除を手伝ってもらい、その上夕食の支度までさせるのは申し訳ないと思い、そう提案する。




「それな―。もう、なにもしたくないです」


こうして夕食に宅配ピザを注文したのだった。


               ***


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