第13話 推しと同棲の提案

今日も仕事が残業デスマーチになりそうだ。そんな苦行を強いられてると、

熱々の缶コーヒーをデスクに置かれる。


「先輩、お疲れ様です!コレ飲んで頑張りましょう」


「いや、俺は、ブラック派なんだが......」


「疲れている時くらい甘いコーヒーでもいいでしょ!」


「いいんだよ、俺にはチョコがあるから。あ...」さっき食べたチョコで最後だったようでチョコを切らしていた。


「それじゃあ、貰うとするか」


どうも、ブラック好むようになってから、微糖缶コーヒーであっても受け付けなくなっていた。


「あっま!」

プルタブを開け一口飲むと、缶コーヒーの甘ったるい味が口の中に広がる。


「そりゃあ、缶コーヒーですから」


後輩の優しさと一緒に微糖の甘さが心に沁み渡る。よし!もういっちょ頑張るか!


「さあ、俺たちの残業デスマーチを始めよう。」


「先輩、残業をデスマーチと表現しましたね!」


ラノベならルビが付きますよと春風が突っ込んでくる。


「おっ、お前もだいぶ分かってきたな!」


「いやいや、先輩ほどじゃないですよ。このエロマンガ大王!」


「誰がエロアニメ大王だ!変な二つ名付けるな!」


「えー、格好良くないですかー?大王ですよ」


「どこがだよ!エロが付いてるだろ!」


そんな卑猥 ひわいな二つ名はイヤだ!


「もー、いちいち細かいですねー」



「じゃあ、わたしは、爆焔の魔導師!」


「ズルいぞ!お前だけカッコイイ二つ名じゃないかー!」


「君たちそのそろ仕事始めなよ」と橋本に注意されて俺たちは業務に戻った。



春風と缶コーヒーでの休憩を終えて仕事に取り掛かっていたらスマホがブブっと振動した。


簡易メッセージには、未来たんから『こんばんは。』とあった。

メッセージを開いてみる。


『こんばんは。今夜は仕事から帰ってくるの何時くらいになりそう?』とあった。



「俺は、『今、残業真っ只中だから帰りは、二一時くらいになりそうだもう、俺はダメかもしれないOTL』と返信する。


『それじゃあ、そのくらいの時間に晩ご飯を作りに行くね!ご飯はなにがいい?』


と元気のいい返信が返ってくる。俺は、肉がいい!

と返信しておいた。


家に帰れば未来たんからの手料理が待っている。


こんなに嬉しいことはない!と一人、未来たんからのメッセージに感動してデスマ後には楽しみがあると気力が湧いてきて仕事を片付けて直帰した。




二一時頃、自宅に帰宅した俺は、リビングであまりの疲労感から放心状態になっていると、インターホンが鳴った。



おっ、未来たんが来たんだ!俺は玄関で、天使を出迎えた。


「こんばんは、佐藤さん!今日も、お仕事お疲れ様です!頑張りましたね」


と優しく俺を労ってくれる優しい言葉に、おお、天使よ!この言葉に俺はどれだけ癒やされているだろうか。極上の癒やしを受けて心が浄化していくようだった。

未来たんの装いは、パンプスはデニムのジーンズ。

アウターは黒のダウンジャケットで、

『ちょっと、コンビニに行ってくるね。』みたいな

ラフなスタイルスーパーの袋を片手に訪れたのだった。



「未来たん、いつもありがとう。今日の夕飯はなに?」



「二一時を過ぎてもう時間は遅いですし、手軽に作れてお腹に溜まるものがいいですよねー」


「ちょうど、豚バラ肉と長ネギ、卵。調味料は、オイスターソースとごま油があるのでネギ塩豚丼にでもしましょうか」


「いいねー!スタミナたっぷりでお腹に溜まるやつでビールがすすみそうだ!」


「それは良かったです」


未来たんは、持参してきたピンク色のエプロンをしてキッチンに立つ。

それだけで、新妻感がグッと上がった。


調理を始める。「佐藤さん、疲れているでしょ?リビングでテレビでも見て休んでいてください」と未来たんからの優しい心遣いを貰う。


テレビを付けるとチョコレート専門店が取り上げられていてバレンタイン特集をやっていた。


そうか、もうそんな季節かー。二月といえば例のあのイベントがやってくる。


果たして俺は貰えるのだろうか?義理チョコならワンチャンあったりしてな。


しばらく、ぼーっとテレビを見ていると、キッチンから「できましたよー」と未来たんが声を掛けてくる。おっ、どうやらできたようだ。


俺は、簡易テーブルの前に移動すると、未来たんが運んできてくれる豚丼を待つ。


「いただきまーす!」俺は手を合わせて作ってくれた未来たんに感謝を告げて頂く。


うん。美味い!豚肉のタンパクな味とネギ塩が合わさり白米と一緒にかっこみ、箸が止まらない。


そして、缶ビールを呷る。かー!濃いめの豚肉に合って最高だ!


「未来たん、美味しいよ。絶品だ」


仕事終わりの肉とビールは体に沁みる。


「あ、ありがとうございます」と照れながら言う未来たんが可愛い。


彼女の容姿は、童顔で中学生のように幼く、妹のようだ。だが、二十歳だ。


それに加え大人顔負けなナイスバディでロリ巨乳の二次元ボディが人気で彼女の人気を押し上げたのだった。


「そういえば、未来たんが卒業した後の放課後シスターズの現状ってどうなってるの?」


未来たんが卒業した後の末っ子メンバーの枠が一つ空いたままになっているはず。今後どうなっていくんだろう?


「ああ、末っ子メンバーの枠ならね、来月に追加メンバー加入オーディションをやるって真凛まりんが教えてくれたんですよね」



「新メンバーかー」

放課後シスターズは、元々、お姉さんメンバーの海原うなばら真凛まりん唯花ゆいかの姉妹アイドルとして活動していたが、事務所側から三人グループとして活動するようにと方針が変わってから追加メンバーで未来たんこと、鈴木友希が加入して三人姉妹となって本格的に活動を再開したのだった。


「あっ、真凛たんはお姉ちゃんメンバーね」


「ああ、わかるよ」


俺は放シスメンバーのことをそれなりに熟知していた。しっかり者のお姉ちゃんの真凛。


おバカで天然キャラのおふざけ者の唯花。そして、シャイで恥ずかしがり屋の未来たんだ。


「新メンバー楽しみだなー」


「むー……」

未来たんは不満な感情のこもっジト目を送り不満を訴えかける。


「大丈夫だよ、俺の一番の推しメンは未来たんだからね!」

俺の一番の推しは、未来たんだ。新メンバーがどんな美少女だろうと、俺の本命は変わらないだろう。


未来たんはそれを聞くと、照れるも安心したよな表情で、目を伏せて


「もう、佐藤さんのバカっ!」とポカポカとダメージゼロの攻撃をしてくる。


痛いというよりくすぐったい


「ところで未来たん、気になることがあるんだけどいい?」


「新メンバーのことですか?」


「いや、違う。俺たちのことだ。未来たんは、朝はお弁当を届けに来てくれて夜は遅くに夕飯を作りに来てくれているでしょ。大変じゃないかなと思ってさ。無理してない?」


「無理してないといったら嘘になりますけど、わたしがしたいからするのです」


俺は、未来たんのその言葉が嬉しかった。でも、それ以上に未来たんの体が心配だった。


「わたしは佐藤さんの為に自己満足でやってるのでいいのです。それなら、一層のこと一緒に住みませんか?」と未来たんから同棲の提案をされた。


俺は、一瞬なにを言われているのか分からなかった。


               ***

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