第7話 何色でもない『限界能力』(2)

戦斧を顕現させた夜空は、恐る恐る先生のいる方向と、生徒たちのいる方向を見た。見渡していた感じ、ほぼ全量が目を点にしてポカンと口が開いており、静寂が訪れていた。

これはどういう反応だろう。謙遜されなければ良いのだけれど。


「お、おい夜空?『限界能力』の模様の色は四色のはずだ。君のそれは白色だ。そのスキルは何だ?」


先生が食いつくのは目に見えていたが、何だと言われても説明ができない。スキルの効果は説明できる。しかし、このスキルが四色のどれでもないその理由は夜空自身も分からない。使えるようになった時からこれだったから。


「すみません。四色でない理由は上手く説明出来ません。でもスキル効果は説明できます」

「そうか。なら効果だけ説明してくれないかな」


「はい。まず、このスキル【共鳴】はその後に唱えたものを顕現させるスキルなのです。唱えたものによって、見てもらった通り、四色の色のどれかがが浮かび出ます。けれど、僕の今の実力では顕現させるのが精一杯です。実力が十分にあればそれぞれ固有の力が使えるはずです。僕はさっき一つの例として【炎神】を使いましたが、他にもいくつか使えるものがあります。」


「なるほど。それじゃあ、他のやつも見せてくれないかな?」


自分で説明しておいて何だが、話しながら薄々こうなると分かっていた。ここで妬んでも意味が無いし、時間が迫ってみんなのスキルが知れないのは悲しいのでここは素直に従っておく。


「では、行きます。・・・【共鳴(レゾナンス)】!・・・【戦いの神(ヴァルキリー)】!」


すると今度はどうだろう。白色の模様の上に青色の模様が浮かび上がった。それと同時に今まで握っていた【炎神】(持っていたことを忘れていた)が手から消えた。そして、入れ替わるように青色の炎が夜空の腕を包み込み、消えた時には、刀身が青や黄色で出来た一振りの剣が握られていた。見た目は【炎神】より、細いが重さはたいして変わらない。【戦いの神】も見た目こそ厳ついそれだが、今はただの剣でしかない。


「と、まぁ、こんな感じです。・・・・ん?あ、あの先生、どうかしましたか?」

「あ、あぁ。その、なんだ。教師の身だが、すげぇって思ってしまったよ。とりあえず、夜空のスキルは分かった。説明とか色々ありがとう。よし次だ!」


やっと夜空の時間は終わったらしい。慣れない説明やスキルの連続使用でものすごく疲れてしまったし、眠くなった。それでも居眠りがしたくないので自分の頬を少し強めに叩いた。

それからというもの、夜空の後の生徒たちが次々とスキルを見せていった。けれど、悲しいかな。眠気や疲労に邪魔をされ誰がどんなスキルを使っていたのかほとんど覚えてなかった。


2/20 文章追加

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