第6話 何色でもない『限界能力』

みんなが順番にスキルを見せていった。スキルを発動させていく度に、赤、青、緑、オレンジの模様がそれぞれ浮かび上がった。見ている限り、スキルの属性の色は「四色」のようだ。


「『限界解放』!【鎧(アーマード)】!」


今のスキルを発動させたのは周防大輝だ。彼が発動させたスキルの模様は緑色だった。緑の炎が彼を包み込み、消えたときには鎧が装備されていた。先生はその様子をしっかりとメモに残していた。先生の合図でスキルを解除した大輝は待ち列に戻って切る際に夜空に向かって笑顔を向けてきた。「がんばれ」とでも伝えたいのかは分からないが、言われなくても今の精一杯を出すつもりでいる。そして、そこから何人かが過ぎたとき、夜空の番が回ってきた。深呼吸をして先生の前に向かって行った。でも、どうしてだろう。なぜかスキルを発動させるのが怖いと思ってしまっている自分がいる。

あぁ、そうか。みんなのスキルを見ているのが楽しくてつい忘れていたけれど僕のスキルは「四色」のどれかに当てはまるスキルじゃないのだ。僕のスキルの模様の色は「白」。どれにも当てはまらない。これを発動して他の人になんて思われるのか怖いのだ。そう認識した時、夜空の歩みは止まっていた。


「あ・・・」

「ん?どうした、夜空?体調でも悪いのか?」

「あ、いえ。大丈夫です。すみません」

「なら良いのだが。準備出来たら合図くれ」


あとの事が怖いけど、ここはやらないと進まない。心臓の鼓動がいつの間にか速くなっていた。心臓の辺りに手を置いて落ち着くために大きく深呼吸をした。

(よし、やろう)

「お願いします」

先生はメモの準備をした。おそらくだが、メモはできないだろう。


「・・・『限界解放』!【共鳴(レゾナンス)】!・・・」

そう唱えた瞬間、僕の足元に出た模様は白く発光し、浮かび上がった。


「「「!?」」」

それを見ていた先生(生徒含め)は、初めて見たような顔をしていた。が、夜空がそれを知る由がない。

ちなみに先生はメモするより先にメモ用紙を落としていた。


夜空のスキルはまだ終わらない。続きがある。

「・・・【炎神(スプリガン)】!」

今度は白の模様の上に赤の模様が浮き出た。そして、みんなと同じように炎に包まれ、消えた時には、夜空の手には一人でギリ持てるくらいの大きさの戦斧が握られていた。

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