第5話 『限界能力(リミットスキル)』とは何か

それはそれとして、過去の回想も程々に演習に集中しなければ。


「だけどその前に、『限界能力』について質問だ。ずばり、『限界能力』とは何だ?簡単に説明しなさい。そうだな、目の前の君!」


先生の指名に当たったのは男子生徒だ。自分があそこに居なくてよかった。夜空も『限界能力』についてはちゃんと知っているけれど、上手く説明出来る自信が無いのだ。グダグダになるのがオチだと思う。


「はい。まず『限界能力』は己の限界を利用したスキルです。スキルの段階は三段階あると言われています。初歩的なものとして、『限界解放(リミットオープン)』です。このスキルが『限界能力』の基礎になっています。そして、二段階目の『限界解放』の熟練度が上がったら使えるようになる、『限界突破(リミットブレイク)』です。これは、『限界解放』をベースになっており、精度や能力の力が上昇します。熟練度と言っても、沢山使えば良いのではなく、自分のスキルを理解し、自分の意志でコントロール出来るようにならなければいけません。そして最後の三段階目は・・・」


「い、一旦そこまでにしておこうな。時間無くなるから」


(??)

今、先生焦って話を強制的に終わらせたな?なんかまずい事でもあるのかな?

確かにリミットスキルには三段階存在している。だけど、三段階目のスキルはいくら調べても検索にヒットすることが無かった。存在しているけれど、存在していないものとして扱われている印象を夜空は受けた。


「『限界能力』についておさらいしたところで、一人ずつスキルを見せてほしい」

来た。この時間が。夜空もみんながどんなスキルを使うか興味しかなかった。

ちなみにだが、『限界能力』には属性のようなものがあり、発動した時に魔法陣のような模様が発動主の足元に広がる。そして、その属性ごとに模様の色が違う。


「まず、先生が見本を見せる。

『限界解放(リミットオープン)』!【魔法の杖(マジックロッド)】!」


先生がそう唱えると、先生の足元に赤色の模様が浮かび上がった。そして、手にも小さい同じ模様が現れたと思うと、模様から炎のようなものが出てきた。それが少しずつ形を成していき、やがてロッドが出来上がった。


「こんな感じに見せてくれたらいい。先生はメモをしていくからな。順番はとりあえず出席番号の順番にしておこう。顔覚えたいし」


そう言うと、ロッドを消してメモ用紙を取り出した。

こうして演習という授業が始まった。

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