第4話 演習と過去
昼休みの後はお待ちかねのスキル演習の授業。場所は学校内の開けた場所で行う。クラス一同は事前に伝えられた場所に集まった。授業開始のチャイムが校内に鳴り響いた。夜空たちの前にこの授業の担当の先生が立った。
「今日からこのクラスの担当を持つことになった時島孝之だ。気軽に時島先生とか読んでくれたら良い。ではこれから授業を始めるぞ。よろしくお願いします」
「「よろしくお願いします!!」」
夜空は癖が強くない先生で良かったと陰ながら安堵していた。
「それじゃ、まずみんながどんなスキルを扱うか知りたいから、一人ずつ俺の前で発動していってくれ」
(え??)
夜空は激しく困惑していた。別にこの授業がつまらないとかそういう事ではない。夜空は自分のスキルが訳ありのスキルであったことが困惑の理由になっていた。このスキルを使って、みんなに避けられないかそれがものすごく心配だったのだ。
何故そう思うようになったか説明しよう。
夜空は小さいころ同い年の子たちに散々いじめられてきた。小さい頃の自分はこの苦しみ、悲しさをしっかりと分かってなかった。いじめられたら、親に泣きついていたのを覚えている。あの苦しみを真に理解したのは小学校の高学年くらいだっただろうか。昔みたいにいじめられ、悪口を言われ、夜空の心は限界に達していた。
いじめはいじめる方も悪いけれど、いじめられる方にも何か原因があるとか何とか言われている。当時の自分はまだ小学生であり、自分の何がそんなに気に食わないのか確かめたかった。そしてそれを直したかった。でも、怖かった。知るのが怖かった。だから、中々行動を起こせずにいた。後になって理由を聞いたら、苗字と名前の感じが違和感しかなくて、それをからかうのが楽しかったからと聞いた。今思えばくだらない理由なのかもしれない。けれど、人の苗字と名前をバカにするのはヒトとしてどうなのかとは思うが。
中学に上がり、そういう事は無くなったけれど心にあるダメージは決して癒えることはない。永遠にその傷は残ってしまう。その時も苦しかったのだと思う。
家に帰って自分の部屋でボーっとしながら、なんでも良いからみんなとは違うものが欲しいと思っていた。叶いもしない妄想だった。夕食後、何となくニュース番組をつけて観ていた。その時『限界能力』について特集されていた。夜空は『限界能力』に強く惹かれた。ついでに『限界能力』を初めて知った瞬間でもあった。
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