第8話

 さて。塩は入手できたのでメジュ草を手に入れる必要がある。メジュ草は森の中に生えているが、考えるまでもなく俺が採りに行くのは危険だ。


 魔物と獣の巣窟だからな。よし冒険者に頼むか!


 こんな時のための冒険者。


 というわけで、サクッと冒険者ギルドにやってきましたよ。


 そこは端的に言って、村のどの建物よりも立派な建物だった。2階建ての木造建築。大きさも普通の建物が2軒は入る大きさだ。


「おいおい。まじかよ」


 どんだけ儲けてんだよ冒険者ギルド!


 建物の前で呆けていると、スキンヘッドな強面イケメンが声をかけてきた。


「よぉ。ジン」

「ん? やぁゲーネッツさん」

「どうしたよ。そんな所でぼーっとして」

「いやぁ……」


 俺は呆けていた理由を話す。すると笑われた。


「あっはっは。確かに!」


 納得するよね。そうだよね。俺だけじゃないよね。


「まぁでも王都の冒険者ギルドよりは小せえはずだが?」


 俺は首を傾げる。


「そうなの?」

「っておいおい。マジか! 何で知らねぇんだよ!」

「王都では、まず採取依頼はしないからなぁ」

「あ~。市場で何でも手に入るからか?」

「いや。賢者の塔や賢者の学び舎には出入りの商会があって、そこが直接卸しに来るんだ」


 するとげーネッツさん。


「かー。ブルジョワジー。金もってんなー」

「そうだね」

「っておいおい。お前も、そこの出身だろ!」

「いやぁ。確かに通ってはいたけどさ」

「だっておめぇ。錬金術師だろ? 金を作り出す。金を持ってんだろ?」

「確かにそうだけど、国の監視下に置かれている組織だからね。お金は作っても全部が全部、国のもんだよ」

「あー、そういうことか」


 僕たちがそんな会話をしていると、以前にもゲーネッツと話している所に声をかけてきた人物がやってきた。


「ゲーネッツ。またお前は村人に絡んでいるのか?」


 するとゲーネッツは「ちげーって。俺たちはあれだよ。マブダチって奴よ。なぁジン?」


 そう言いながら肩を絡めてくるので俺は苦笑いを浮かべる。いったい何時からそんな関係になったのかと。それに気がついたのだろう。イケメンさん。確かカイトって言ったかな。カイトさんは俺の様子に気がついたようだ。


「違うみたいだぞ?」


 するとゲーネッツは愕然と項垂れた。


「な、ちげーって。マジでマブなんだよ!」


 すると、カイトさんの隣にいる妙齢の女性。アヤさんが突っ込んだ。


「またそうやって、絡んで……」


 そう言って、俺に謝罪をしてきた。


「ごめんなさいね。この人。馴れ馴れしい上に鬱陶しいでしょ?」


 俺はそれには「いえ。そんな事ないですよ」と返す。


「おら。見ただろ? やっぱり俺たちマブダチなんだよ!」


 う~ん、話が前に進まないな。なので軌道修正する。


「えっと、皆さん冒険者ですよね?」


 するとゲーネッツは頷いた。


「おう! 腕利きの冒険者様だぜ!」

「もしよかったら、指名依頼を受けませんか?」


 俺は彼等にそう提案をしたのだった。

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