"初"配信の"初"コメが元"初"彼女だった。

とりけら

第1話

"初"配信の"初"コメが元"初"彼女だった。



「おーし、始めるか」


俺はマウスカーソルを動かし、赤い"配信開始"のボタンを押す。

すると画面に大きな変化はなく、ただ赤い丸が右上隅にちょこんと表示された。

これで配信が始まった。あとは、のんびり好き勝手に喋ったりゲームをするだけだ。なのに俺は、一言も喋れずただパソコンの画面をひたすらに見ていた。動かないゲーム画面。微動だにしないコメント欄。固唾を飲んで見守る俺。初配信というわけでもあるまいに、何故か俺はかなり緊張していた。



俺が動画をあげるようになったのは高校生になってすぐの事だった。当時は、ゲームの実況動画をインターネットにアップロード(あげる)することが流行り始めていて、それを見る人も学生を中心に多かった。動画をあげるのは簡単だが、視聴者に配慮した字幕やエフェクトを付ける人もいてそういう人はめきめきとチャンネル登録者を増やしていた。かく言う俺は趣味程度、友達に見せる用や上手くできたプレイを残しておくような使い方で動画をあげはじめた。チャンネル登録者数や、視聴回数なんて気にしてなかったし、ただ単純にゲーム動画を動画サイトにあげることが楽しかった。気づけばほぼ身内だけのライブ配信もはじめたりして、よく夜更かしをしたものだ。だが、インターネットに動画を上げている以上、俺の知らない人、名前も顔も分からない赤の他人も俺があげた動画を見るわけで、そんなこと微塵も考えてなかった俺は1つの心無いアンチコメントが原因か、はたまた単純に飽きたのか、どちらにせよ動画投稿は1年ちょっとで辞めてしまった。


そんな俺が、大学生になった今、また動画投稿を始めたのには理由がある。

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"初"配信の"初"コメが元"初"彼女だった。 とりけら @torikeran

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