『自主企画参加作品「ロストゲーム」』

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アイデアだけで他はガバガバ

 島と島。六つの島が常に動き周回している。

 そこの名前を僕は詳しく知らない。故郷の村やその島に名付けられている名前を言えと言われたのなら上げることは出来るが今この状況ではそれも憚られる。

「さて、皆様方初めまして。わたくしわたくし今回の司会を務めさせていただきますツーと言うものでございます。皆さまごきげんよう」

 そう言ったツーなる存在はおかしな言動で喋りだす。その姿は空を飛ぶ光の粒これだけ見れば幻想的なのに喋りだした途端にその印象は一気に崩れ落ちた。

「皆様方にここに来ていただいたのは他でもありません。此度の島の命運それを握っていただきます」

「ふざけるなっ! どういうことか説明しろ!」

 そう怒鳴ったのは巨大な体を持った者だった。体中を鱗が覆うどこか爬虫類を思わせる図体のでかい奴。

「もちろん! そのための私ですから説明いたしましょう高らかに!」

「御託は良い。さっさと始めてくれこんな茶番」

 そう言ったのは耳の長い毛むくじゃら。

「もちろんもちろん。しかしそのために話し出す前置きがいるのですごちゃごちゃ言わないでいただけますか」

「……はぁ」

 溜息をつくのは魅力的な女性。しかしその頭に角が生えているのを見れば普通でない事がよく分かった。

「では、参りましょう。題して『島取りゲームあなたは島を守れるのか』と言うゲームを行っていただきます。皆さまに配られた島のライフをあなた達は守らなければなりません。えっ? そんなものどこにあるのかって? あなたの掌に書かれていますよ」

 そう言われて僕は掌を見るそこには数字が書かれていた数は10。

「そこに書かれた数字は桁数は言いませんが島の寿命。あなた達はそれを伸ばさなければならないのです。他の島の寿命を吸ってね」

「つまり、島の寿命を取り合う。これでいいのか?」

「はい」

 虫のような二足歩行で黒光りしたやつが淡々と尋ねツーはそれに答えた。

「馬鹿げているふざけるな!」

 そう叫んだのは獣のような奴。

「島の命運を取り合う。それがどうした弱肉強食食物連鎖それと同じだろう?」

「全く話しが違うわ! いかれてんのかてめえ」

 黒光りと獣がそう言うとツーは二人の間に挟まるように飛んでいく。

「まあまあまあ、嘘か本当かそう言う事ならやってみてくださいよ意外と面白いかもですよ」

「面白くはないだろうなそんな話し。もし負ければ故郷がなくなる俺のところは酷いところだが愛がないわけではない。それがなくなるとなれば面白いわけがない」

 ヘドロのような奴はそう理性的に語る。それには僕は同感だが結局どうしろと言うのかと言うのが問題ではないだろうか。

「結局、僕たちはどうすればいい?」

 僕はそう尋ねる。

「簡単でございます。皆さまには話し合いをしていただきたいのです。どの島を落とすのか。どの島を残すのかこれはそういう話しでございます」

 顔がこわばる。つまり話しを信じるのならば僕らはこれから島を失くす選択をしろと言われたのだ。

「さあ、皆様方ご選択を『ロスト・アライブ』」

 そんな奇妙な声と共にツーは幻想的にその姿を消すのだった。

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