第46話 神様からのお祝いの力
〈オルナスっ。ウフフっ…〉
〈なんだい?アナ…〉
と、このやり取りを30回はしている、
…何故かというと、
神様からの〈結婚祝い〉にあります。
まだ、こちらの世界といえど〈成人〉ではありませんが、〈先払い〉という事で、
神様アイテムその2、
〈愛の指輪〉
対を成す指輪同士の念話機能と、
二人ならばどんな困難にも〈二倍の力で〉立ち向かえる祝福を付与してあるらしい。
神様に、
「これは〈装備〉に含まれますか?」
と聞くと、
神様は、
「今回のは、自動でサイズは調整されるが、オルナス君専用ではなく、二人のアイテムなので、
オルナス君の遺伝子を練り込んで有りません。
なので〈装備〉にカウントされます。」
と、教えてくれたが、
〈神様パンツは俺の遺伝子が、練り込んであるの!!〉
と、別の報告に驚いたのだが、
暫く考えた俺は、
「まぁ、二倍の祝福ならば、パンツ一丁で〈10倍〉だから、指輪の装備で〈8倍〉に落ちてもプラス〈2倍〉だから元通りか…
アナが〈2倍〉のステータスに成るのは嬉しいし、
あんなに喜んでいるから…ヨシとするかな。」
と呟くと、
神様から、
「えっ?違うよぉ。
オルナス君の〈8倍スキル〉の〈2倍祝福〉だよ。」
と訳の解らない説明をされた。
首を傾げていると、
神様は、
「もう、オルナス君、
スキルと祝福は別次元だから、〈足し算〉じゃなくて〈掛け算〉だよ。」
と…
益々わからないが、
とりあえず、指輪 & パンツ一丁…〈愛のパンいち〉になれば、
地球より3倍のステータスが8倍で24倍…
そしてその二倍で48…もはや人間ではない…
しかし、アナは、そんな能力よりも、
〈念話〉が嬉しいみたいで、
教会から帰ってくる道中から、わざと遠くまで走り、
〈フフっ、オルナス聞こえる?〉
〈あぁ、聞こえるよアナ…〉
と始まり、今に至ります。
〈アナ…ステータス2倍に喜ぼうよ…〉
待機組のポー君とチーちゃんに、教会での話をして、
〈イナリー〉ちゃんが、合流するかも知れない話をする。
しかし、ポー君は、
「良いなぁ、指輪…僕もチーちゃんに指輪をプレゼントしたい。
チーちゃんは、どんな指輪が欲しいの?」
と、二人でイチャイチャしている。
〈仲が良い事で…〉
チーちゃんは、
「金とか銀は別に要らないのぉ
魔力の出力が上がる〈オリハルコン〉かぁ、それがダメでも、〈ミスリル〉で、魔力の出力を微上昇させたいな。
なんなら、〈ミスリル食べて〉木製の体を強化したいなぁ~」
と、おねだりしている…
〈怖ぇぇぇ、おねだり馴れしているし…ミスリル食うってなんだよそのパワーワードは…〉
怯える俺をよそに、
ポー君は、
「ミスリルね、大丈夫、大丈夫。
僕の全財産突っ込んでも買ってあげるよ。」
と…宣言し、
チーちゃんも、
「アタクシは幸せ者ですわぁ!」
と、ポー君に抱きついている…
〈あぁ、アイツやってんなぁ…
プロだ…マジで、ケツの毛までむしりとられるタイプのお嬢だ。
ポー君は何から何まで捧げるつもりかな…
幸せそうだから良いけど…〉
と、少し仲間の将来を心配したが、
暫くはこの街を拠点に〈イナリー〉さんを待ちつつ、お仕事に励む事にした俺達は、
早速、冒険者ギルドで依頼を探す。
しかし、辺境のギルド、
微妙に魔物も強く、冒険者の数も多い為に〈Eランク〉の依頼はあまりない…
〈複数受注とかするみたいだな…この地域の冒険者さんは…〉
仕方ないので〈Dランク〉に的を絞り、
ランクアップを目指す事にした。
色々な依頼の中で、1つの依頼に目がとまる。
『秋の味覚〈うまい茸〉の納入依頼
冬の社交の季節に向けて、奴らをギャフンと云わせる為に、あの旨味しかないキノコ、〈うまい茸〉を出来るだけ沢山集めてきて欲しい。
辺境伯家料理長』
と書いて有った。
〈これならば、知らない狩場の下見がてら、あちこちうろついて、俺がクンカクンカすれば、キノコなんてすぐに見つかるだろう…〉
「肩慣らしには丁度良さそうだ。」
ということで、サウスフィールドの街での初依頼は、〈うまい茸の納入クエスト〉に決定した。
ついでに、魔物を倒してお小遣い稼ぎもすれば一石二鳥だ!!
と、気楽な気持ちで来たのだが、
あれだけの冒険者が居ながら〈残っているクエスト〉なことを考えてなかった…
ライバルが居るのだ…
人間では無くて、
〈うまい茸〉を目当てに縄張りを主張し、ポー君の説得にすら耳を貸さない
ヤバいキノコの虜に成った〈猪系〉魔物が、
パンツ一丁の〈うまい茸〉探しモードの俺が、キノコを見つける度に出くわす〈ボア〉さん…
〈ソレ、オレの…クウ、ユルサナイ!〉
と…いちいちポー君も通訳しなくて良いのに…
キノコが数本生えているエリアには〈タックルボア〉というピザ屋のバイク程有る中型の猪や、
〈スタンプボア〉というミニバンぐらいの大型の猪がもれなくついてくる…
麻袋いっぱいのキノコを収穫するには、ダンプカー一台分の猪を狩るはめになりそうだ…
しかし、
ポー君は、
「チーちゃんの為に頑張る!」
とクマクマ君をけしかけて猪を倒すし、
チーちゃんは、チーちゃんで、
〈シャドウウォーク〉で手際よくキノコを集める、ついでに猪の影から飛び出して、首にナイフをざっくりと突き立てる…
〈チーちゃんってチャッキーの愛称かな…〉
と思わなくもないが…
アナに至っては、
もう、今の弓矢セットでは役不足かもしれない…
大型のスタンプボアですら弓矢数発で沈めてしまう…
ターゲットスキルで、眉間を一撃のヤツまでいた。
〈もう、青いレンジャーさんの三本いっぺんに射てる弓でも使いこなしそう…〉
そして、俺は…〈愛のパンいち〉状態で、
〈スタンプボア〉に正面から〈正拳突き〉をいれてみると…
…粉砕した…
あえてグロいので何がどうかは云わないが、
〈闘気〉を込めた渾身のパンチは…
エグかった…
皆に、〈うまい茸〉に血がつくから、弾け飛ばすのは止めてと注意されてしまう始末…
神様…なんてモノを…
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