第35話 人を呪わば穴2つ


さて、色々終了して、


現在、屋敷でカオスな状態で鍛治仕事です…




蜘蛛は、〈シルク〉ネェさんという、


関西の美容番長みたいな名前をもらって、


鍛治仕事をしている俺の近くをチョロチョロしている…


〈凄い気が散る…〉


まずは、なぜ鍛治仕事かというと、


チーちゃんが完全に人形の体に馴染み、滑らかに動く間接を手に入れ、物も掴める様になったので、


「オルナス様、ワタクシの装備を作って頂けないでしょうか?


マスターの装備を制作されたと聞きまして…ダメ…ですか?…ニコッ。」


と、おねだりされたからだ。


ポー君への嫌がらせも兼ねて、


「いいよ、ポー君がインゴット購入して、手間賃をはずんでくれるならば…」


と、言ってやった。


〈手間賃は別に要らないが、嫌な顔の一つでもすれば良いかな?〉


くらいだったが、


ポー君に


「マスターの為に戦いたいのぉ~、おねがいしますぅ~。」


と、上目遣いでお願いしているチーちゃんに、


「良いよ、良いよ、オルナス兄ちゃんには、幾らでもツケが効くから…


ミスリル装備にするか?」


などと言っている…


〈アイツはこれぐらいではノーダメージか…〉


ならば、と


「チーちゃん、ポー君の許しが出たの?」


と聞くと、


チーちゃんは申し訳無さそうに、


「はい、ですが、マスターが、


その…〈ツケで作って貰え…〉と…」


と言っている。


〈可哀想に…カッコ悪いマスターだよ…


では、嫌がらせを違う角度からにしよう。〉


と閃いた俺は、


「了解、でも、俺も凄い金属を用意する予算がないから、鉄か鋼程度だけど…良い?


良いんならば、チーちゃんの体のサイズを〈計りたい〉んだけど?」


と、わざと大きな声でいうと、


「ダメぇぇぇぇぇぇぇ!!


チーちゃんは僕のだ!


オルナス兄ちゃんのイヤらしい指先であんなことや、こんなことをされるなんて…


僕は許さないぞぉぉぉぉぉ!!」


と、大騒ぎしながらポー君が飛んできた。


〈フッフッフ、嫉妬の炎に身を焦がせ!〉


俺は、


「でも、体にピッタリくる装備じゃないと、チーちゃんが扱い憎くて可哀想だよ…」


と言ってやる。


ポー君は、


「オルナス兄ちゃんは、チーちゃんのお姉さんをお土産に持ってるだろ!


そっちの胸やお尻を好きなだけ計ったら良いじゃないか!!」


と、凄い勢いだ…


〈フッフッフ、掛かったな小僧…〉


「えっ、ポー君はチーちゃんじゃなくて、


チーちゃんの胸やお尻が大事なの?


微妙に合わない装備でチーちゃんが困っても、

自分だけがお尻や胸を触りたいばっかりに…


別に俺は良いんだよ、シーラ用のお土産のあの人形に合わせた装備を打っても。」


と俺がいうと、


チーちゃんは、「マスター?」と言って少し可哀想な子をみる様な視線をポーの野郎に向けていた。


〈ざまぁ!〉


ポー君は


〈グハッ!〉とダメージを食らいながらも、


「ぼ、僕が計る…


いや、僕以外には計らせない!!」


と俺を睨んでいる。


〈あースッキリ…チーちゃんに対してポー君の株を下げる作戦も成功したし、気分よくチーちゃんの装備を作れる。〉


と思い鍛治を始めたのだが、


ポーの陰湿な嫌がらせとして、


〈見張り〉と称してチーちゃんと一緒に鍛治場に居座り、


ついでに、〈シルク〉を呼び出してチーちゃんに糸の回収業務を申し付けている。


蜘蛛は糸を出すだけだから鍛治をしている俺を何故かサワサワと触るし、


チーちゃんの意見を聞くのすら、ポー君経由で手間だし…


更に、〈シルク〉の声を通訳してくる…


「下着一枚にエプロンってセクシーじゃないの!」


「いゃ~っ、アタイ、エプロンと胸板の間に触肢差し込んじゃったぁぁぁぁ!」


などなど…


俺が、


「あぁ!気が散る!!


お前のマスターはポー君だろう!


マスターの穴に触肢でも突っ込んでろよっ!!」


と怒ると、


ポー君は、ニヤリと笑い、


「えっと、


〈マスターとは仕事の上での関係で、


アタイはご主人様の愛の…いえ、性の奴隷なの〉


って言ってるよ。」


と通訳をしてくる。


〈何だか一部分盛った気もするが…〉


などとやっていると、


無表情のアナが、


「チーちゃん貸して」


と、チーちゃんがくるくる回している糸車を取り上げて、


〈グルグルグルッ〉っと高速で回すと、〈シルク〉の尻から凄い勢いで糸が巻き取られていく…


ポー君は、〈シルク〉の声を


「スッゴい、スッゴいのっ、全部出切っちゃうのっ、あぁぁぁぁ!」


と、要らぬ通訳を始める…


そう、これが現在のカオスな状態の全てだ…



今まで我慢していたアナが、


ポー君に、


「おい、アタシのオルナスに何をけしかけてるの?


〈モグ〉わよ…羽根。」


とキレて、


全てを出しきりピクピクしている〈シルク〉を足でコンと蹴り、


「糸を全部巻き取ったから、そこの卑猥蜘蛛を森に送り返しとけ!」


とのアナの指示に、


「はいっ!」


とだけ答えて従うポー君。


〈ざまぁ。〉


と、眺めていると、


次にアナは、俺に近づき、


「オルナスもオルナスで、


チーちゃんを触ろうとしたり、卑猥蜘蛛に触らせたり…


ワタシの時には胸や尻の細部まで計ったかな?


えぇ、?!


次の装備の時が楽しみだわねっ!!


オルナスはアタシの隅々まで計ってくれるのよね?!」


と、ドングリみたいな真っ黒な目で詰め寄ってくる…


〈怖えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!〉


ポー君への仕返しのはずが、


一番怒らせてはいけない女性の逆鱗に触れる結果に成ってしまった…

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